2018年6月13日に成年年齢など「民法の一部を改正する法律」が成立したことにより、成年年齢が20歳から18歳に変わることになりました。この改正によって、2022年4月1日時点で18歳、19歳に達している人は、その時点で新成人となります。
2004年4月2日以降に生まれた人の場合は、18歳の誕生日の前日を迎えた時点で新成人となります。
具体的には、成年年齢の引き下げで、何がどう変わるのでしょうか。
変わるもの
親権者の同意なしの契約
例えば、携帯電話の購入や、賃貸借契約の締結、クレジットカードの作成、ローンを組んで車を購入するなどの契約ができるようになります。ただし、契約の際には支払い能力や返済能力を審査されるため、契約できない場合もあります。
なお、資産運用については、証券会社の未成年口座は、成年年齢が引き下げられることで口座開設基準を見直すところも出てきています。NISA(一般NISA、つみたてNISA)についても、現状では加入可能年齢が20歳以上となっていますが、2023年1月以降は18歳以上の人が利用できるようになります。
労働契約の締結も本人の意思でできるようになります。
パスポートの取得
10年有効パスポートを取得できるようになります。
国家資格の取得
試験に合格すれば、公認会計士や司法書士、行政書士、医師免許、薬剤師免許などの国家資格を取得することができるようになります。
結婚
女性の結婚可能年齢は、16歳から18歳に引き上げられ、男女とも18歳となります。ただし、2022年4月1日時点で既に16歳以上の女性については、18歳未満でも結婚することが可能です。
審判
性別の取扱いの変更審判を受けることができるようになります。
変わらないもの
健康面への影響
飲酒や喫煙をする。
ギャンブル依存症対策
競輪、競馬、モーターボート競走、オートレースの投票券を買う。
養子を迎える
免許
大型・中型自動車運転免許を取得する。
国民年金
国民年金(第1号被保険者または第3号被保険者)へ加入する。
問題点
子の養育費
子の養育費について、「子が成年に達するまで養育費を支払う」との取決めがされていることがあります。成年年齢が引き下げられた場合にこのような取決めがどうなるか心配になるかもしれませんが,取決めがされた時点では成年年齢が20歳であったことからすると、成年年齢が引き下げられたとしても従前どおり20歳まで養育費の支払義務を負うことになると考えられます。
このため、成年年齢が引き下げられたからといって,養育費の支払期間が当然に「18歳に達するまで」ということになるわけではありません。例えば、子が大学に進学している場合には大学を卒業するまで養育費の支払義務を負うことも多いと考えられます。
成人式
成人式の時期や在り方に関しては、法律による決まりはなく,各自治体の判断で実施されています。多くの自治体では、1月の成人の日前後に20歳の者を対象に実施しています。
成年年齢が18歳に引き下げられた場合には,そもそも18歳の者を対象とするのか、高校3年生の1月という受験シーズンに実施するのか、2022年度は3学年分同時に実施するのかといった問題があると指摘されています。
今後各自治体の対応を待ちたいところです。
社会保険
現在、遺族年金等の加給対象となる子の要件は、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻していないこと」となっていますが、今後見直される可能性があります。
成人高校生
今後、高校3年生の教室に成人と未成年が混在することになります。校則と法律との間の格差が大きくなるでしょう。例えば、労働契約を自由に締結できる成人高校生に、アルバイト禁止の校則が適用されるのか等。
消費者被害拡大の懸念
民法では、未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には、原則として契約を取り消すことができるとされています。これは未成年者を保護するためのものであり、未成年者の消費者被害を抑止する役割を果たしてきました。しかし成年年齢を18歳に引き下げた場合には、18歳、19歳の者は、当該保護がなくなるため、悪徳商法などによる消費者被害の拡大が懸念されています。
参照:法務省 大人への道しるべ
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