自転車保険の義務化

自転車事故における被害者救済の観点から、条例により自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化する動きが広がっています。

自転車損害賠償責任保険等への加入義務化の条例改正は平成27年10月に初めて兵庫県で導入され、その後も多くの地方自治体で義務化や努力義務とする条例が制定されています。令和3年10月1日より三重県でも、自転車損害賠償責任保険等への加入を義務づける条例が制定されています。

概要

三重県内において自転車関連事故が長期的に減少している一方で、2008年に兵庫県で発生した、小学生が60代女性を意識不明の重体にしてしまった自転車事故では、9500万円の賠償金を母親に課す判決が出されました。この判決をきっかけに、兵庫県は自転車保険の加入義務を定めた条例を全国で初めて施行しました。このような万が一の交通事故に備え、被害者の救済、加害者の経済的負担の軽減を目的として、「交通安全の保持に関する条例」を全面改正した「三重県交通安全条例(以下、条例という。)」において、「自転車損害賠償責任保険等への加入(条例第25条)」及び「自転車損害賠償責任保険等への加入の確認等(条例第26条)」を義務としました。【令和3年3月23日公布】

詳細:三重県ホームページ

施行日

2021年(令和3年)10月1日

対象者

自転車損害賠償責任保険等への加入は以下の方が対象者です。
(1)三重県内において、自転車を運転する者(未成年者を除く)
(2)三重県内において、自転車を運転する未成年者を監護する保護者

※個人の場合。

自転車保険とは

自転車保険は、「加害者としての事故の賠償」と「自転車事故でケガをしたときの補償」を対象にした保険です。自転車保険の加入を義務付けている条例は、「加害者としての事故の賠償」を対象とした保険です。

自転車保険の義務化への対応

加入中の保険

まずは、既に入っている自動車保険あるいは火災保険などの補償内容を確認して、特約が付帯しているかどうかをチェックしてみて下さい。

共済や団体保険(会社や学校で加入した保険等)でも個人賠償責任保険を契約している場合があるので、こちらもよく確認しましょう。

家族が入っている保険も含めて、改めて補償内容を見直し、個人賠償責任特約が重複して付いていないか確認しましょう。

加入している場合は、その補償範囲も十分確認することが必要です。

TSマーク

TSマーク付帯保険でも補償可能です。TSマークとは、自転車安全整備士が点検し、安全であることを確認した自転車に貼付されるシールのことです。自転車購入時にシールを貼ってもらっていないか確認してみてください。

なお、TSマークの有効期間は、マークに記載されている日付から1年間です。補償を継続するには、1年ごとに点検整備を受けてTSマークを更新する必要があるので気を付けましょう。

TSマークが貼られた自転車で事故を起こした場合に、傷害保険と賠償責任保険が適用されます。 TSマークには青色マークと赤色マークがあり、それぞれ補償内容が異なるので注意しましょう。 基本的に、赤色マークの方が補償内容は手厚いです。

詳細:TSマークとは

クレジットカード

クレジットカードには旅行傷害保険やショッピング保険などさまざまな保険が付帯していることが多いですが、中には個人賠償責任保険が付帯しているカードがあります。

新規加入

上記を確認して個人賠償責任保険に加入していない場合、保障が不足する場合、新たに自転車保険に加入しましょう。

既に入っている保険の特約でカバーする場合でも、自転車保険単体で契約する場合でも、必ず確認しておきたい重要なポイントなので、早速チェックしていきましょう。

賠償金額

賠償金額の上限は1~2億円だと安心
先に紹介した事例のように、被害者に重大な後遺症が残ってしまった場合などは、賠償金が高額となるケースもあります。

高額賠償でもしっかりと被害者側への支払いに対応できるよう、1~2億円まで補償可能なものだと安心です。

対象者

家族全員が補償されるものを選ぶ。

自転車保険加入義務は、未成年者から高齢者まで、自転車に乗るすべての人が対象です。保険を選ぶ際には、家族も補償の対象となるものを選ぶと、1人ずつ加入するより保険料が安く済む場合が多いのでおすすめです。

なお、自動車保険や火災保険などの個人賠償責任特約も、一般的には家族を補償対象とするものが多いので、補償内容をよく確認してみてください。

注意事項

「自転車だから大きな事故にならない」と軽視するのは非常に危険であるということ、また、たとえ子どもでも重大事故の加害者になり得るということをしっかり認識しておかなければなりません。

ぜひ自分に合う保険を探してみてください。

留意事項

保険の重複がないかよく確認する。
個人賠償責任特約はさまざまな保険に付けられる特約なので、気付かずに複数付けてしまうとその分保険料が無駄になってしまいます。

保険は「対象地域で自転車に乗る人」に義務付けられる点に注意。
自転車保険が義務付けられるのは、「対象地域で自転車を運転する人」である点に注意が必要です。

義務化の対象地域に住んでいなくても、その地域で自転車に乗るのであれば、基本的に保険への加入が義務付けられます。県境に住んでいる場合や、県外の職場・学校に自転車で通勤または通学している場合などは特に気をつけましょう。

義務化の対象地域:国土交通省・自転車損害賠償責任保険等への加入促進について

現在、自転車保険の加入義務に違反したからといって法的な罰則が科せられることはありません。 ただし、通学や通勤に自転車を使っている場合には、校則や社内規定で自転車保険加入が必須となっているケースもあるので注意が必要です。

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