遺言書に異論がある場合の対処法は? ~遺言を履行しないと罪になる?~
目次
はじめに 遺言書があってもトラブルは起こる
相続において、遺言書は被相続人の最終意思を示す重要な書面です。
しかし実務では、
- 内容に納得できない
- 不公平に感じる
- 他の相続人と意見が対立する
といったケースが少なくありません。
まず知っておくべき重要なポイントは、遺言書があっても「必ず従わなければならない」とは限らないということです。
遺言書の基本 どこまで効力があるのか
遺言書は法律上、有効に作成されていれば強い効力を持ちます。
例えば、
- 財産の分け方の指定
- 特定の相続人への配分
- 遺言執行者の指定
などが可能です。
ただし絶対ではない
遺言書にも「限界」があり、すべてが無条件に有効となるわけではありません。
遺言書に異論がある場合の主な対処法
①遺言の有効性を争う
まず検討されるのが、遺言書そのものが有効かどうかです。
主な争点
- 作成時に判断能力があったか
- 法律で定められた形式を満たしているか
- 偽造・変造ではないか
これらに問題があれば、遺言自体が無効となる可能性があります。
②遺留分侵害額請求を行う
遺言内容が不公平な場合でも、最低限保障される「遺留分」を請求できる制度があります。
遺留分とは?
一定の相続人に保障された最低限の取り分です。
ポイント
遺言内容に関係なく請求できる強い権利です
③相続人同士で話し合う
遺言書があっても、相続人全員の合意があれば内容を変更することも可能です。
遺言を履行しないと罪になる?
ここが多くの方が気になるポイントです。
原則
遺言を履行しないだけで直ちに刑事罰(犯罪)になるわけではありません。
ただし注意点
以下の場合は問題となる可能性があります。
①遺言書を隠した・破棄した
遺言書の隠匿・破棄は刑事責任を問われる可能性があります。
(相続欠格事由)
②遺言執行を妨害した
遺言執行者の職務を妨害する行為は法的責任の対象となる可能性があります
③不正に財産を取得した
場合によっては、
- 不当利得返還請求
- 損害賠償請求
の対象になります。
遺言執行者の役割とは?
遺言書で指定されることが多い「遺言執行者」は、遺言内容を実現するための中心的存在です。
主な役割
- 財産の名義変更
- 預金の解約・分配
- 不動産の登記手続き
ポイント
相続人は原則として遺言執行者の行為を妨げることができない。
よくあるトラブル事例
ケース①:特定の相続人に全財産
→ 遺留分請求が発生
ケース②:認知症の疑いがある遺言
→ 無効争いに発展
ケース③:遺言内容を無視して分割
→ 後からトラブル・訴訟へ
トラブルを防ぐためのポイント
①感情的にならない
相続は感情が絡みやすいため冷静な判断が重要。
②専門家へ相談する
弁護士・司法書士・FPなどの専門家の関与が有効です。
③早めに対応する
遺留分請求には期限(原則1年)があります。
まとめ 遺言書は「絶対」ではないが軽視も危険
最後に重要なポイントを整理します。
- 遺言書は強い効力を持つが絶対ではない
- 異論がある場合は無効主張や遺留分請求が可能
- 履行しないだけでは直ちに犯罪ではない
- ただし隠匿・破棄は重大な問題
正しい知識を持ち、適切に対応することが円満な相続への第一歩です。

