海外の資産を相続する場合の問題点、注意点とは? ~海外不動産・海外預金・海外証券を相続するときに知っておくべきポイント~
近年、グローバル化の進展に伴い、海外に資産を保有する方が増えています。
例えば、
- 海外赴任中に取得した不動産
- 海外銀行口座の預金
- 外国株式や海外投資信託
- 海外法人の持分
- 海外の生命保険
などです。
また、親族が海外に移住していたり、外国籍の家族がいるケースも珍しくありません。
しかし、海外資産の相続は、日本国内の相続とは異なり、
「相続手続きが複雑」「税金が二重に課される可能性がある」「現地法の影響を受ける」
など、多くの問題点があります。
相続開始後に慌てないためにも、事前に海外資産相続の特徴を理解しておくことが重要です。
本記事では、海外資産を相続する際の問題点や注意点について、ファイナンシャルプランナーの視点から詳しく解説します。
目次
なぜ海外資産の相続が増えているのか?
近年では、
- 海外赴任
- 国際結婚
- 海外移住
- 海外投資
が一般化しています。
その結果、
日本人が海外に資産を保有するケースが増加しています。
また、
- ハワイの不動産
- オーストラリアの投資物件
- 米国株式
- シンガポールの銀行預金
などを保有している方も少なくありません。
海外資産も相続財産になる
まず理解しておきたいのは、海外にある資産も相続財産に含まれるということです。
相続財産には、
- 国内不動産
- 預貯金
- 株式
だけでなく、
- 海外不動産
- 海外預金
- 海外証券
も含まれます。
海外資産相続で発生する主な問題
① 現地の法律が関係する
最も大きな特徴です。
日本の相続法だけで処理できるとは限りません。
例えば、
- 不動産の名義変更
- 相続登記
- 相続人の範囲
などについて、現地国の法律が適用される場合があります。
国によって制度が違う
日本では法定相続制度があります。
しかし海外では、
- 遺言優先
- 配偶者優先
- 子ども優先
など制度が異なります。
そのため、日本では有効な相続手続きが海外では認められない場合もあります。
② 相続手続きが非常に複雑
海外資産の名義変更には、様々な書類が必要になります。
主な必要書類
- 戸籍謄本
- 被相続人の死亡証明
- 遺産分割協議書
- パスポート写し
- 宣誓供述書
など。
翻訳が必要になる
多くの場合、
- 英語
- 中国語
- 現地言語
への翻訳が必要です。
翻訳費用も発生します。
③ 相続税の問題
日本居住者の場合、
原則として、海外資産も日本の相続税課税対象になります。
具体例
例えば、
- 米国不動産
- 豪州預金
- 海外株式
なども日本の相続税申告に含める必要があります。
二重課税の可能性
注意したいのが、
現地国でも相続税が課税されるケースです。
例えば、
海外で相続税や遺産税が課され、
さらに日本でも課税される場合があります。
外国税額控除制度
一定の場合には、
外国税額控除制度により調整されます。
しかし、国によって制度が異なるため注意が必要です。
④ 海外不動産の評価が難しい
日本の不動産であれば、
- 路線価
- 固定資産税評価額
などがあります。
しかし海外不動産は、評価方法が国ごとに異なります。
評価資料収集が必要
例えば、
- 不動産鑑定書
- 売買事例
- 現地評価書
などが必要になります。
⑤ 海外預金の把握が難しい
相続人が、被相続人の海外口座を知らないケースがあります。
よくあるケース
- 海外赴任時に開設
- 長年利用していない
- 家族へ伝えていない
など。
結果として、口座発見まで時間がかかる場合があります。
⑥ 外国語対応が必要
海外機関とのやり取りでは、英語等が必要になることがあります。
例えば、
- 銀行
- 証券会社
- 登記機関
との交渉です。
⑦ 手続きに時間がかかる
日本国内の相続より長期化する傾向があります。
長期化の原因
- 書類収集
- 翻訳
- 認証手続き
- 現地確認
など。
場合によっては1年以上かかることもあります。
特に注意したい海外資産
海外不動産
最もトラブルが多い資産です。
海外預金
口座凍結解除に時間がかかります。
海外証券
現地証券会社ごとのルールがあります。
海外法人株式
事業承継問題も発生します。
生前対策が重要
海外資産がある場合、事前準備が極めて重要です。
財産目録を作る
まず、
- 資産内容
- 所在国
- 金融機関名
を一覧化しましょう。
家族へ情報共有する
資産の存在を知らなければ相続できません。
遺言書作成
非常に重要です。
特に海外資産を持つ場合は、国際相続に詳しい専門家の支援を受けた遺言作成がおすすめです。
国ごとの制度確認
例えば、
- 米国
- 英国
- 豪州
- シンガポール
では制度が異なります。
事前確認が重要です。
海外資産を相続放棄できる?
可能です。
ただし、日本で相続放棄しても、
現地法上で別手続きが必要になる場合があります。
海外資産の相続で専門家が必要な理由
国際相続は、
- 税務
- 法律
- 不動産
- 外国法
が複雑に絡みます。
そのため、
- 税理士
- 弁護士
- 司法書士
- ファイナンシャルプランナー
などの連携が重要です。
海外資産相続の主な注意点
| 項目 | 注意点 |
|---|---|
| 海外不動産 | 現地法確認が必要 |
| 海外預金 | 口座凍結解除手続き |
| 海外株式 | 現地証券会社対応 |
| 相続税 | 日本でも課税対象 |
| 遺言書 | 国際相続対応が重要 |
| 翻訳 | 各種書類翻訳が必要 |
ファイナンシャルプランナーからのアドバイス
海外資産を保有している方は、
「自分の資産は家族が把握しているだろう」
と考えがちです。
しかし実際には、
- 口座の存在が分からない
- 書類の場所が不明
- ログイン情報が不明
というケースが少なくありません。
その結果、
相続人が資産を発見できず、手続きが進まないこともあります。
そのため、財産目録の作成と遺言書の整備は必須の相続対策といえるでしょう。
参考リンク
まとめ
海外資産の相続は、日本国内の相続に比べて、
- 現地法の適用
- 相続税の問題
- 書類翻訳
- 手続きの長期化
など、多くの課題があります。
特に、「海外資産も日本の相続税の対象になる」ことや、
「現地法によって相続手続きが大きく異なる」ことは重要なポイントです。
将来の相続トラブルを防ぐためにも、海外資産を保有している方は、財産目録の整備や遺言書の作成など、生前からの準備を進めておくことが大切です。専門家のサポートを活用しながら、円滑な国際相続対策を進めていきましょう。

