【2026年版】65歳からの社会保険 ~加入すべきもの・加入できないもの・加入した方が良いものを社会保険労務士が徹底解説~
65歳は、多くの方にとって人生の大きな節目となる年齢です。
定年退職を迎える方、再雇用で働き続ける方、年金を受給しながら仕事を続ける方など、ライフスタイルは人それぞれです。
しかし、65歳になると気になるのが「社会保険」の取扱いではないでしょうか。
- 「65歳になったら厚生年金はどうなるの?」
- 「健康保険は今までどおりでよいの?」
- 「雇用保険には加入できる?」
- 「介護保険料はどうなる?」
- 「会社で働き続けると社会保険料はかかる?」
このような疑問をお持ちの方も多いでしょう。
実際、65歳を境に制度が変わるものもあれば、引き続き加入する制度もあります。また、加入できる制度と加入できない制度があるため、正しい知識を持つことが大切です。
この記事では、社会保険労務士の立場から、「65歳からの社会保険」について分かりやすく解説します。
65歳になると社会保険はどう変わる?
65歳になると、次のような社会保険制度に関係します。
- 老齢年金
- 健康保険
- 介護保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
制度によって取扱いが異なるため、一つずつ確認していきましょう。
まず確認したい「65歳以降の働き方」
社会保険の加入状況は、65歳以降の働き方によって異なります。
例えば、
- 完全に退職する
- 再雇用で働く
- 他社へ再就職する
- パート勤務を続ける
- 個人事業を始める
など、それぞれで加入する制度が変わります。
65歳以降の主な社会保険
加入すべき社会保険
① 健康保険
医療保険への加入は、65歳になっても必要です。
退職したからといって無保険になることはできません。
加入先は次のいずれかになります。
1. 勤務先の健康保険
再雇用や再就職で社会保険加入要件を満たす場合は、引き続き健康保険に加入します。
2. 任意継続被保険者制度
退職前の健康保険を最長2年間継続できます。
3. 国民健康保険
勤務先の健康保険へ加入しない場合は、市区町村の国民健康保険へ加入します。
健康保険で注意するポイント
健康保険証は退職日の翌日から使用できなくなります。退職後は速やかに新しい健康保険へ加入しましょう。
② 介護保険
65歳になると介護保険制度の取扱いも変わります。
40歳から64歳までは健康保険料と一緒に介護保険料を納めていますが、
65歳になると、
第1号被保険者
となり、市区町村へ介護保険料を納付します。
保険料の納付方法
多くの場合、
- 年金からの天引き(特別徴収)
となります。
年金額が一定額未満の場合は納付書による支払いになります。
③ 厚生年金保険(働く場合)
65歳になったからといって厚生年金へ加入できなくなるわけではありません。
会社で働き、加入要件を満たせば、
70歳になるまで厚生年金へ加入します。
加入要件
週の所定労働時間や賃金など、法律上の要件を満たす場合です。
メリット
厚生年金へ加入すると、
将来受け取る老齢厚生年金が増える可能性があります。
重要ポイント
65歳以降でも厚生年金に加入できる場合は、将来の年金額が増える可能性があります。
加入できる社会保険(労働保険)
雇用保険
以前は65歳以降は新規加入できない時期もありましたが、現在は制度が改正されています。
65歳以上でも一定の条件を満たして働く場合は、雇用保険の被保険者となります。
また、離職した場合には一定の要件を満たせば高年齢求職者給付金などの対象となることがあります。
雇用保険のメリット
- 高年齢求職者給付金
- 育児・介護休業給付(要件を満たす場合)
- 教育訓練給付(一定の要件あり)
などの制度を利用できる場合があります。
労災保険はどうなる?
労災保険には年齢制限がありません。
65歳以上でも、会社で働いている限り適用されます。
仕事中や通勤中のケガ・病気について補償を受けることができます。
加入できないものは?
国民年金保険料の納付
原則として、65歳になると新たに国民年金保険料を納めることはできません。
国民年金保険料の納付義務は20歳以上60歳未満です。
ただし、受給資格期間を満たさない方などは60歳以上65歳未満で任意加入制度を利用できる場合があります。
65歳から加入した方がよい制度は?
任意継続健康保険
退職後すぐの場合、
国民健康保険より保険料が安くなるケースがあります。
比較検討して選びましょう。
個人年金保険・iDeCo等
公的年金だけでは生活費が不足する場合には、自助努力による資産形成も検討しましょう。
制度改正により加入可能年齢は拡大されていますが、加入条件は制度ごとに異なるため確認が必要です。
年金はどうなる?
65歳になると、多くの方が老齢基礎年金と老齢厚生年金の本来支給を受けます。
働きながら受給することも可能ですが、老齢厚生年金は賃金との合計額によっては在職老齢年金制度により一部支給停止となる場合があります。
一方、
老齢基礎年金は原則として働いても減額されません。
65歳からの社会保険一覧
| 制度 | 加入できる? | ポイント |
|---|---|---|
| 健康保険 | ○ | 必ずいずれかへ加入 |
| 国民健康保険 | ○ | 退職後の選択肢 |
| 厚生年金 | ○(70歳未満・要件あり) | 年金額増加の可能性 |
| 国民年金 | △ | 原則60歳まで。一定の場合は任意加入可 |
| 雇用保険 | ○ | 要件を満たせば加入可能 |
| 労災保険 | ○ | 年齢制限なし |
| 介護保険 | ○ | 65歳から第1号被保険者 |
よくある質問
Q1. 65歳で会社を辞めたら健康保険はどうなりますか?
勤務先の健康保険の資格は退職日の翌日に喪失します。任意継続、国民健康保険、家族の扶養(条件を満たす場合)のいずれかを選択します。
Q2. 年金を受給しながら働けますか?
はい。働きながら受給できます。ただし老齢厚生年金は在職老齢年金制度による調整を受ける場合があります。
Q3. 65歳以降も厚生年金に加入するメリットはありますか?
あります。加入期間や標準報酬額に応じて、将来の老齢厚生年金額が増える可能性があります。
社会保険労務士からのアドバイス
65歳は「社会保険の終わり」ではなく、「社会保険制度が変わる節目」です。
特に再雇用や再就職をする場合には、
- 健康保険の選択
- 厚生年金加入の有無
- 雇用保険の適用
- 在職老齢年金の影響
- 介護保険料の納付方法
などを総合的に確認する必要があります。
制度を正しく理解し、ご自身の働き方やライフプランに合わせた選択を行うことが、老後の安心につながります。
制度改正も比較的多い分野ですので、不明点がある場合は年金事務所や社会保険労務士へ相談することをおすすめします。
参考リンク
まとめ
65歳からは、健康保険・介護保険・年金・雇用保険など、それぞれの制度で取扱いが変わります。
特に重要なのは、
- 健康保険は必ずいずれかの制度へ加入すること
- 働く場合は70歳まで厚生年金に加入する可能性があること
- 65歳から介護保険は第1号被保険者となること
- 雇用保険や労災保険も条件を満たせば適用されること
これらを正しく理解し、ご自身のライフスタイルに合った制度を選択することが、安心したセカンドライフへの第一歩となります。

