【2026年版】退職金の受け取りは「一時金」or「年金」? ~メリット・デメリットを比較!自分に合った受け取り方をファイナンシャルプランナーが詳しく解説~【後編】

はじめに

前回は、退職金制度の概要や、「一時金」と「年金」の受け取り方法、それぞれのメリット・デメリットについて解説しました。

今回は、退職金を受け取る際に特に重要となる税金や社会保険料への影響、そして2026年から施行された退職所得課税の見直し(いわゆる「10年ルール」)について詳しく説明します。

退職金は金額が大きいだけに、受け取り方を少し工夫するだけで税負担が大きく変わることがあります。老後資金をより有効に活用するためにも、制度を正しく理解しておきましょう。


2026年施行「退職金の10年ルール」とは?

2026年1月から、複数の退職金制度を利用する場合の退職所得控除の取り扱いが見直されました。

これまで、企業の退職一時金と確定拠出年金(iDeCoや企業型DCなど)の一時金を受け取る場合、一定の期間を空けることで退職所得控除を有利に利用できるケースがありました。

しかし制度改正により、その調整期間が5年から10年へ延長されています。

つまり、短期間のうちに複数の退職金を受け取ると、退職所得控除を重複して利用できないケースが増え、結果として税負担が増える可能性があります。

退職金とiDeCoなどの受取時期を計画する際は、「10年ルール」を踏まえて慎重に検討することが重要です


一時金受取と年金受取の税金の違い

退職金の受け取り方法によって、適用される税制が異なります。

■ 一時金で受け取る場合

一時金は「退職所得」として扱われます。

退職所得には退職所得控除が適用され、さらに控除後の金額の2分の1が課税対象となるため、税負担が軽減される仕組みです。

長年勤務した方ほど退職所得控除額が大きくなり、所得税・住民税を抑えられる可能性があります。


■ 年金で受け取る場合

年金形式で受け取る場合は、一般的に「雑所得」として課税されます。

公的年金等控除の対象となる場合がありますが、公的年金や他の年金収入と合算されるため、所得税や住民税の負担が増えるケースもあります。

制度内容は企業年金の種類によって異なるため、事前に確認しておきましょう。


一時金受取と年金受取の比較

比較項目一時金受取年金受取
受け取り方一括分割
主な税区分退職所得雑所得
主な控除退職所得控除公的年金等控除(適用条件あり)
資金管理自分で管理定期収入として管理しやすい
老後資金一括で活用可能毎月の生活費を補える

社会保険料への影響

退職金の受け取り方は、社会保険料にも影響を与えることがあります。

退職一時金は、原則として健康保険や介護保険の保険料算定対象にはなりません。

一方、年金形式で受け取る場合は、所得として扱われることで、後期高齢者医療制度や介護保険料の算定に影響する場合があります。

また、住民税の課税所得が増えることで、各種行政サービスの自己負担額や負担割合が変わるケースもあるため、注意が必要です。

税金だけでなく、社会保険料や住民税への影響も含めて総合的に判断することが大切です


ケース別おすすめの受け取り方

ケース1 住宅ローンを完済したい方

退職後すぐに住宅ローンの返済やリフォームを予定している方は、一時金受取が向いている場合があります。

まとまった資金を確保することで、利息負担を減らし、生活費を圧迫しない家計を実現できます。


ケース2 毎月の生活費に不安がある方

公的年金だけでは生活費が不足する場合には、年金形式で受け取ることで、安定した収入源を確保できます。

長寿化が進む現在では、「長く受け取れる安心感」を重視する方も増えています。


ケース3 資産運用に自信がある方

資産運用の知識や経験があり、自分で計画的に資金を管理できる方は、一時金受取を選択し、NISAや個人向け国債などを活用する方法も考えられます。

ただし、リスクを十分理解したうえで分散投資を心掛けることが重要です。


ケース4 一時金と年金の併用ができる方

企業制度で選択できる場合は、一部を一時金、残りを年金として受け取る方法も有力な選択肢です。

住宅修繕や旅行などのまとまった支出に備えつつ、老後の安定収入も確保できるため、バランスの良い受け取り方といえるでしょう。


よくある質問

Q1. 一度選んだ受け取り方法は変更できますか?

多くの企業では、一度選択すると変更できません。選択前に制度内容を十分確認しましょう。

Q2. 退職金は預貯金だけで管理した方がよいですか?

生活資金として必要な分は安全性の高い預貯金で確保し、それ以外を長期・分散投資で運用する方法も検討できます。

Q3. 年金受取の方が得ですか?

一概にはいえません。税金、社会保険料、ライフプラン、健康状態、資産状況などを総合的に考えて判断することが重要です。


ファイナンシャルプランナーからのアドバイス

退職金は、多くの方にとって人生で受け取る最大級の資金です。

「税金が少ない方法」を優先することも大切ですが、それ以上に重要なのは、自分や家族が安心して老後生活を送れる資金計画を立てることです。

医療費や介護費用、住宅修繕費など、老後には予想外の支出が発生することもあります。一時金と年金のどちらが適しているかは、年齢や健康状態、家族構成、年金収入、保有資産などによって異なります。

「どちらが有利か」ではなく、「自分にとってどちらが安心して暮らせるか」という視点で選択することが、後悔しない退職金活用のポイントです

制度改正や税制は今後も見直される可能性があります。退職を控えている方や受け取り方法に迷っている方は、退職前に会社の担当部署や企業年金基金、税理士、ファイナンシャルプランナーなどへ相談し、ご自身に最適な方法を検討することをおすすめします。


参考リンク


まとめ

退職金の受け取り方法には、「一時金」「年金」「併用」の3つがあり、それぞれに異なる特徴があります。

一時金は、退職所得控除を活用しやすく、まとまった資金を確保できるメリットがあります。一方、年金受取は、長期間にわたり安定した収入を得られる安心感が魅力ですが、税金や社会保険料への影響を受ける場合があります。

さらに、2026年からは退職所得課税に関する「10年ルール」が導入され、退職金とiDeCoなどの受取時期によって税負担が変わる可能性もあります。

退職金は「受け取ること」がゴールではなく、「老後の暮らしを支える資産」として活用することが重要です。ご自身のライフプランや資産状況を踏まえ、必要に応じて専門家へ相談しながら、最適な受け取り方法を選択しましょう

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