死亡診断書(死体検案書)の受取

 死亡診断書(死体検案書)は、人の死亡に関する厳粛な医学的・法律的証明であり、死亡者本人の死亡に至るまでの過程を可能な限り詳細に論理的に表すものです。
したがって、死亡診断書(死体検案書)は、医師が作成し、死亡に関する医学的、客観的な事実が記入されます。

 一般的には、医師の診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合(死因が明確な場合)には「死亡診断書」を、それ以外の場合には監察医が異常死かどうかを調べた上で「死体検案書」が交付されます。

 なお、死亡診断書の発行手数料は5,000円前後(病院による)ですが、死体検案書の場合は数万円ほど(地域による)かかります。

死亡届の届出

 通常、死亡診断書(死体検案書)は死亡届と一体(A3サイズの用紙の左側が「死亡届」右側が「死亡診断書(死体検案書)」となっている)となって印刷されており、医師等が記載し、病院等から発行されます。届書の様式は全国共通です。他市区町村の死亡届も使用できます。

 死亡届を届け出ることによって、戸籍に死亡の記載がされ(日本国籍の方のみ)、住民票が消除されます。外国籍の方でも、日本国内で亡くなった場合は死亡届の届出が必要です。

届出期限死亡の事実を知った日から7日以内
故人が国外で亡くなった場合、死亡の事実を知った日から3か月以内
届出先市区町村役場窓口(故人の死亡地・本籍地等)
届出人1.同居の親族、その他の同居人、死亡した場所の家主や地主又は家屋や土地の管理人
2.同居していない親族
3.後見人、保佐人、補助人、任意後見人
(届出自体は代理人でも可能)
必要物死亡届、死亡診断書(死体検案書)
身分証明書(本人確認書類)、印鑑
(3.の人が届け出る場合は登記事項証明書又は裁判所の謄本(写し不可)等が必要)
手数料無料
備考死亡届の作成が終わったら、提出前に死亡届のコピーを複数枚取っておく

死亡届の記載事項証明書の請求

 死亡届の記載事項証明書の請求は、遺族基礎年金、遺族厚生年金又は遺族共済年金を請求する場合といったように特別な理由がある時のみ認められています。郵便局簡易保険の死亡保険金の請求(一定の条件を満たすもの)も特別な理由に当てはまります。

死亡届の記載事項証明書はこのような特別な理由がない限り公開されることは許されていないため、例えば一般の保険会社に保険金を請求する、勤務先に提出するといった場合には請求することはできません。特別な理由に当てはまらない場合には、死亡届(写し)等を用いるのが一般的となっています。

請求先本籍地の市区町村役場に死亡届を届け出た場合:約1ヵ月以内であれば届け出た市区町村役場、1ヵ月以上は本籍地を管轄する法務局
本籍地以外の市区町村役場に死亡届を届け出た場合:約1年以内であれば届け出た市区町村役場、1年以上は本籍地を管轄する法務局
請求人利害関係者で年金等の受取人となる人(親族、死亡届の届出人等)
必要物請求人の身分証明書(本人確認書類)
印鑑
戸籍謄本等(死亡した人との関係を証明する書類)
特別な事由を証明する書類
(代理人である場合は委任状)
手数料市区町村役場:有料(350円)
法務局:無料
備考死亡届の作成が終わったら、提出前に死亡届のコピーを複数枚取っておく

埋火葬許可証の申請

「火葬許可証」は、故人の遺体の火葬許可を証明する書類です。火葬許可証がなければ、遺体を火葬することはできません。
「埋葬許可証」は、火葬した故人の遺骨を、墓などに納骨する際に必要となる書類です。

埋葬許可証は、多くの自治体では「火葬許可証」や「埋火葬許可証」として発行しています。

 市町村役場に死亡届・死亡診断書を提出する際は、火葬・埋葬許可の申請書(自治体によって「火葬許可申請書」「埋火葬許可申請書」など)を同時に提出します。書類は窓口に備えられていることが多く、記載も簡単なので、その場で記入して提出します。これらの書類が受理されると、火葬許可証が発行されます。

 火葬場で遺体を荼毘に付す前に火葬許可証を提出し、火葬が済んだ後に火葬執行済みであることを証明する印が押され、火葬日時が記入された火葬許可証が返却されます。火葬場が印を押し、遺体を火葬したことを証明することで火葬証明証は「埋葬許可証」となります。

申請期限死亡の事実を知った日から7日以内
故人が国外で亡くなった場合、死亡の事実を知った日から3か月以内
申請先死亡届を届け出る市区町村役場窓口(故人の死亡地・本籍地等)
申請人死亡届を届け出る人
必要物火葬・埋葬許可の申請書
(自治体によって「火葬許可申請書」「埋火葬許可申請書」など)
手数料無料
備考死亡届と同時に提出する

火葬許可証

 市区町村役場に死亡届を届け出る際、窓口で火葬・埋葬許可の申請書に必要事項を記入して提出します。これらの書類が提出、受理されることで、「火葬許可証」が発行されます。火葬許可証が発行されると、火葬が可能になります。火葬の際に、火葬場の事務所に提出しなければならないので、忘れずに携帯しましょう。になります。遺体の火葬が済むと、提出した火葬許可証に火葬証明の印が押されて返却されます。この書類が「埋葬許可証」です。

埋葬許可証

 「埋葬許可証」は、墓地への納骨の際に墓地・霊園の管理者に提出します。通常、埋葬許可証は、遺体の火葬後に、遺骨の入った骨壺と一緒に遺族に渡されます。遺族が埋葬許可証を紛失しないように、骨壺と一緒に桐の箱に収めて返却されることが多いようです。納骨は、四十九日法要に合わせて行われることが一般的なので、それまで大切に埋葬許可証を保管しておきましょう。紛失した場合は再発行が必要となりますが、場合によっては再発行に追加料金が必要となることもあります。

世帯主の変更

 世帯主が亡くなった場合で、残された世帯員が2人以上であるとき、世帯主に変更が生じた日から14日以内に、世帯主の変更を届け出る必要があります。ただし、次に世帯主となる人が明瞭である場合や、世帯主にふさわしい人物がいない場合は、届出がいらない場合もあります。

 例えば夫婦2人の世帯であった場合、夫が亡くなった時は妻が世帯主になることが明確なので、届出の必要はありません。また15歳未満の子どもは、世帯主になることはできないので、夫婦に15歳以下の子ども1人の家族だった場合も、届出の必要はありません。

届出期限世帯主に変更が生じた日から14日以内
届出先市区町村役場窓口
届出人世帯員
(届出自体は代理人でも可能)
必要物住民異動届(世帯主変更)
身分証明書(本人確認書類)
委任状(代理人が届け出る場合)
手数料無料
備考手続きが完了した後、住人表の写しを取得し、確認しましょう

健康保険の喪失

国民健康保険の喪失手続

 健康保険に加入している人が死亡した場合は、加入をやめる資格喪失手続きが必要です。
故人が国民健康保険に加入していた場合は、死亡から14日以内に 国民健康保険資格喪失届を市区町村役場に提出します。

 故人が後期高齢者医療制度に加入していた場合は、後期高齢者医療制度の資格喪失手続きが必要です。後期高齢者医療制度は、75歳以上の人または65歳以上で一定の障害がある人が加入しています。多くの場合は、死亡届の届出時に資格喪失手続きが行われますが、市区町村によっては後期高齢者医療資格喪失届の提出が必要になる場合があります。

届出期限死亡の事実を知った日から14日以内
届出先市区町村役場窓口
届出人世帯員他
必要物国民健康保険資格喪失届
国民健康保険の保険証(世帯主死亡の場合世帯員分のすべて)
国民健康保険高齢受給者証(対象者のみ)
後期高齢者医療被保険者証(対象者のみ)
限度額適用認定証・標準負担額減額認定証(対象者のみ)
特定疾病療養受療証(対象者のみ)
死亡を証明するもの(戸籍謄本または死亡届(写し)など)
身分証明書(本人確認書類)
印鑑
相続人の預金通帳。印鑑(高額療養費がある場合)
手数料無料
備考残された世帯員の加入手続きも併せて行いましょう

協会けんぽ・健康保険組合の喪失手続

 協会けんぽ・健康保険組合の資格喪失手続きは勤務先に届け出ます。故人が会社員や公務員で健康保険(被用者保険)に加入していた場合や扶養家族として健康保険に加入していた場合は、健康保険の資格喪失手続きが必要です。
 ただし、退職して任意継続で健康保険に加入していた場合は、保険証に記載の全国健康保険協会(協会けんぽ)または健康保険組合に届け出ます。

 扶養家族であった人は、国民健康保険への加入又は他の家族の被扶養者となるか、いずれかの手続きが必要になります。健康保険の加入日に空白ができないように注意しましょう。