故人の所得税の準確定申告

 準確定申告とは、死亡した人が生前に収入や支出があった場合、故人に代わって相続人がその年の所得税を計算して確定申告することをいいます。

準確定申告が必要な人

個人事業主であった
事業所得や不動産所得がある
2箇所以上の勤務先から給料があった
給与所得が2,000万円以上だった
年金受給が400万円以上だった

 上記に該当する場合、準確定申告が必要になります。

申告期限死亡の事実を知った日から4か月以内
申告先故人の住所地の所轄税務署
申告人相続人他
必要物確定申告書(年金又は給与の源泉徴収票、医療費の領収証など)
申告人の身分証明書(本人確認書類)
手数料無料
備考

準確定申告が必要のない人

 準確定申告が必要な人以外の人は、準確定申告は必要ありません。

概ね、故人が普段から確定申告をしていた場合は、必要であり、確定申告をしていなかった場合は、必要ありません。(一部例外あり)

葬祭費・埋葬料(埋葬費)の請求

葬祭費

 葬祭費とは、国民健康保険、国民健康保険組合、又は後期高齢者医療制度の被保険者が亡くなったときに、その葬祭を行った方に支給される給付金のことです。

 支給される金額は、国民健康保険に加入していた場合は5万~7万円(市区町村によって異なる)、後期高齢者医療制度に加入していた場合は3万~7万円(市区町村によって異なる)、国民健康保険組合に加入していた場合は5万~10万円(組合によって異なる)程度のことが多いようです。

お通夜や告別式を行わず火葬のみ行う直葬の場合は、葬祭費が支給されないことがあります。直葬の場合でも葬祭費が支給されることが多いのですが、保険者によっては支給されないこともあるため、亡くなった方の加入する公的医療保険の保険者(国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合は亡くなった方の住所地の市区町村、国民健康保険組合に加入していた場合はその組合)にご確認ください。

 葬祭費は相続財産ではないので、相続放棄をしても受給できます。また、葬祭費を受給したからといって相続放棄ができなくなることもありません。

請求期限葬祭を執行した日の翌日から起算して2年
請求先国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた場合:故人の住所地の市区町村役場
国民健康保険組合に加入していた場合:国民健康保険組合
請求人葬祭を行った人(喪主等)
必要物葬祭費用の領収書
申告人の身分証明書(本人確認書類)
手数料無料
備考相続放棄しても対象となり、相続税はかかりません

埋葬料又は埋葬費

 「埋葬料」とは、協会けんぽ、健康保険組合の被保険者が、業務外の事由により亡くなった場合、亡くなった被保険者により生計を維持されて、埋葬を行う人(埋葬に要する費用を負担した人)に、支給されます。金額は5万円で一律です。

被保険者が業務上や通勤途上に亡くなったときは、埋葬料は支給されず、労働者災害補償保険(労災保険)から葬祭料(葬祭給付)の支給対象となります。

埋葬料は、埋葬を行う人(埋葬に要する費用を負担した人)の生計の全部または一部が被保険者によって維持されていた場合に支給対象となります。よって、親族や遺族であることは問われず、被保険者が世帯主であるか、埋葬料の請求者が被保険者の被扶養者であるか、また、被保険者と埋葬料の請求者が同一世帯であるかも問われません。

なお、埋葬に要する費用を負担した方の生計の全部または一部が被保険者によって維持されていない場合は、埋葬料の対象外ですが、「埋葬費」の支給対象となります。

 「埋葬費」とは、埋葬料の申請資格のある人がいない場合、埋葬料(5万円)の範囲内で実際に埋葬に要した費用が支給されます。

請求期限埋葬料の場合:亡くなった日の翌日から起算して2年
埋葬費に場合:葬祭を執行した日の翌日から起算して2年
請求先協会けんぽに加入していた場合:加入していた都道府県の協会けんぽ
健康保険組合に加入していた場合:加入していた健康保険組合
請求人被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行う人
埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った人
必要物健康保険 被保険者 家族 埋葬料(費)支給申請書
被扶養者以外が埋葬料を申請する場合は、申請者の生計が亡くなった被保険者によって維持されていたことが確認できる書類
埋葬費を閨秀する場合は葬祭費用の領収書
手数料無料
備考故人が勤務していた会社で手続きをしてくれることがありますので、確認しましょう
相続放棄しても対象となり、相続税はかかりません
被保険者資格喪失後でも一定の要件を満たせば対象となることがあります

復氏(名字を婚姻前に戻す)

配偶者の氏の変更

 結婚して配偶者の名字を名乗っていた人が、配偶者の死亡後、旧姓に戻すために「復氏届」を届け出ます。これにより婚姻前の戸籍に戻るか、新たに戸籍を作ることになります。旧姓に戻したからといって、配偶者の相続人という地位や、配偶者の遺産を相続する権利はそのまま残ります。

また、旧姓を変更するからと言って配偶者と離婚したわけではありませんので、配偶者の親族との法律上の関係は変わらず、扶養義務も残ります。

届出期限死亡届の届出後からいつでも(期限なし)
届出先配偶者の本籍地又は住所地の市区町村役場
届出人残された配偶者
必要物復氏届
結婚前の戸籍に戻る場合:婚姻前の戸籍謄本
届出人の身分証明書(本人確認書類)
印鑑
手数料無料
備考

子の氏の変更

 注意したいこととして、復氏届は届出をした本人のみの変更であり、子どもは配偶者の戸籍に残り名字もそのままになります。特に子供が未成年であった場合、子供とともに姓を変更したいと考えるのが一般的でしょう。そのためには家庭裁判所に申し立てをし、許可審判を受けた上で、入籍届を出す必要があります。

申立期限死亡届の届出後からいつでも(期限なし)
申立先子の住所地の家庭裁判所
申立人子(子が15歳未満の場合法定代理人)
必要物子の氏の変更許可申立書
子の戸籍謄本(全部事項証明書)
父母の戸籍謄本(全部事項証明書)
手数料800円(印紙代)
郵送料
備考家庭裁判所の許可がでると審判書謄本が送られてくるので、それとともに入籍届を市区町村役場へ届け出ます

姻族関係を終了させる

 配偶者の親兄弟等のことを「姻族」と言いますが、死亡した配偶者にはもともと親や兄弟姉妹の扶養義務があり、その義務は配偶者が死亡したあとでも姻族であるため残るのです。また、配偶者が亡くなった後「義母との関係が煩わしい」「配偶者の親族と同じ墓に入りたくない」と思うことがあれば、死亡した配偶者の姻族と法律上の関係を解消するため、「婚姻関係終了届」を提出しなければなりません。

婚姻関係終了届は提出すると取り消すことはできませんので、きちんとメリット・デメリットを理解した上で、届け出るようにしましょう。

ただし、法律上の関係が終了するのは配偶者本人のみであり、子供は血族関係にあたるためその関係が終了することはありません。

届出期限死亡届の届出後からいつでも(期限なし)
届出先配偶者の本籍地又は住所地の市区町村役場
届出人残された配偶者
必要物婚姻関係終了届
亡くなった配偶者の死亡の記載がある戸籍謄本等
身分証明書(本人確認書類)
印鑑
手数料無料
備考婚姻関係終了届によって戸籍に変更は生じないので名字を変更するには復氏届が必要です