第二章 保険関係の成立及び消滅

徴収法

 本章では、労働保険の関係がどのようにして成立し、消滅するかについて規定されています。

第三条~第四条 保険関係の成立

第三条(保険関係の成立)
 保険関係の成立 労災保険法第三条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」という。)が成立する。

第四条
 雇用保険法第五条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する。

 適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険及び雇用保険に係る保険関係が法律上当然に(手続きを経ることなく)成立する。

第四条の二 保険関係の成立の届出等

第四条の二(保険関係の成立の届出等)
1 前二条の規定により保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から十日以内に、その成立した日、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を政府に届け出なければならない。
2 保険関係が成立している事業の事業主は、前項に規定する事項のうち厚生労働省令で定める事項に変更があつたときは、厚生労働省令で定める期間内にその旨を政府に届け出なければならない。

 保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から10日以内に、保険関係成立届を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に届け出なければならない。(則4条)

 保険関係が成立している事業の事業主は、次の(1)~(5)に変更があったときは、変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に、名称、所在地等変更届を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に届け出なければならない。(則5条)
(1)事業主の氏名又は名称及び住所又は所在地
(2)事業の名称
(3)事業の行われる場所
(4)事業の種類
(5)有期事業にあつては、事業の予定される期間

<届出の提出先>

所轄労働基準監督署長所轄公共職業安定所長
(1)一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しない事業(1)一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託するもの事業
(2)二元適用事業であって労災保険に係る保険関係が成立している事業(2)二元適用事業であって雇用保険に係る保険関係が成立している事業

 有期事業以外の事業(労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しないものに限る)の事業主であって、健康保険又は厚生年金保険の適用事業所の事業主は、「保険関係成立届」及び「名称、所在地等変更届」を年金事務所を経由して所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出できる。(則78条)

 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業に係る事業主は、労災保険関係成立票を見やすい場所に掲げなければならない。(則77条)

<暫定任意適用事業に係る保険関係の成立>

労災保険暫定任意適用事業(整備法第5条)雇用保険暫定任意適用事業(法附則2条)
任意加入の要件事業主の加入申請事業主の加入申請
労働者の2分の1の同意
任意加入の申請義務労働者の過半数が希望するとき労働者の2分の1以上が希望するとき
提出書類任意加入申請書任意加入申請書
労働者の2分の1の同意を証明する書類
書類提出先所轄労働基準監督署長所轄公共職業安定所長
保険関係成立日厚生労働大臣の認可があった日厚生労働大臣の認可があった日

 強制適用事業に該当する事業が暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、その事業につき任意加入の認可があったものとみなす。

第五条 保険関係の消滅

第五条(保険関係の消滅)
 保険関係が成立している事業が廃止され、又は終了したときは、その事業についての保険関係は、その翌日に消滅する。

第六条削除

 継続事業においては事業が廃止された日の翌日、有機事業においてはその事業が終了した日の翌日に消滅する。

<暫定任意適用事業に係る保険関係の消滅に関する経過措置>

労災保険暫定任意適用事業(整備法第8条)雇用保険暫定任意適用事業(法附則4条)
保険関係消滅の要件事業主の申請
労働者の過半数の同意
保険関係が成立した後1年を経過している
事業主の申請
労働者の4分の3以上の同意
提出書類保険関係消滅申請書
労働者の過半数の同意を証明する書類
保険関係消滅申請書
労働者の4分の3以上の同意を証明する書類
書類提出先所轄労働基準監督署長所轄公共職業安定所長
保険関係消滅日厚生労働大臣の認可があった日の翌日厚生労働大臣の認可があった日の翌日

第七条 有期事業の一括

第七条(有期事業の一括)
 二以上の事業が次の要件に該当する場合には、この法律の規定の適用については、その全部を一の事業とみなす。
一 事業主が同一人であること。
二 それぞれの事業が、事業の期間が予定される事業(以下「有期事業」という。)であること。
三 それぞれの事業の規模が、厚生労働省令で定める規模以下であること。
四 それぞれの事業が、他のいずれかの事業の全部又は一部と同時に行なわれること。
五 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める要件に該当すること。

 2以上の事業が(1)~(5)の要件に該当する場合には、この法律の規定の適用については、その全部を一の事業とみなす。(則6条)
(1)事業主が同一人であること
(2)それぞれの事業が、有期事業(事業の期間が予定される事業)であること
(3)それぞれの事業の規模が、次のa.b.に定める規模以下であること
 a.概算保険料の額が160万円未満であること
 b.立木の伐採の事業にあっては、素材の見込生産量が1,000立方メートル未満であり、
  立木の伐採の事業以外の事業にあっては、請負金額が1億8,000万円未満であること
(4)それぞれの事業が、他のいずれかの事業の全部又は一部と同時に行なわれること
(5)次のa.b.c.に定める要件に該当すること。
 a.それぞれの事業が、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業であり、
  又は立木の伐採の事業であること
 b.それぞれの事業が、事業の種類(労災保険料率における事業の種類をいう)を同じくすること
 c.それぞれの事業に係る労働保険料の納付の事務が一の事務所で取り扱われること

 一括有期事業の事業主は、次の保険年度の6月1日から起算して40日以内又は保険関係が消滅した日から起算して50日以内に、必要事項を記載した報告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。(則34条)

第八条 請負事業の一括

第八条(請負事業の一括)
1 厚生労働省令で定める事業が数次の請負によつて行なわれる場合には、この法律の規定の適用については、その事業を一の事業とみなし、元請負人のみを当該事業の事業主とする。
2 前項に規定する場合において、元請負人及び下請負人が、当該下請負人の請負に係る事業に関して同項の規定の適用を受けることにつき申請をし、厚生労働大臣の認可があつたときは、当該請負に係る事業については、当該下請負人を元請負人とみなして同項の規定を適用する。

 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、建設の事業が数次の請負によって行なわれる場合には、この法律の規定の適用については、その事業を一の事業とみなし、元請負人のみを当該事業の事業主とする。(則7条)

下請負人をその請負に係る事業の事業主とする認可

 元請負人及び下請負人が、当該下請負人の請負に係る事業に関して事業主とすることにつき申請をし、厚生労働大臣の認可があったときは、当該請負に係る事業については、当該下請負人を事業主とする。

分離認可の基準

 分離の認可を受けるためには、次の(1)又は(2)を満たす事業でなければならない。(則9条)
(1)下請負人の請負に係る概算保険料の額が160万円以上であること
(2)下請負人の請負に係る請負金額が1億8,000万円以上であること

分離認可の申請

 分離の認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に、必要事項を記載した申請書を所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。ただし、やむを得ない理由により、この期限内に当該申請書の提出をすることができなかったときは、期限後であっても提出することができる。(則8条、則78条)

第九条 継続事業の一括

第九条(継続事業の一括)
 事業主が同一人である二以上の事業(有期事業以外の事業に限る。)であつて、厚生労働省令で定める要件に該当するものに関し、当該事業主が当該二以上の事業について成立している保険関係の全部又は一部を一の保険関係とすることにつき申請をし、厚生労働大臣の認可があつたときは、この法律の規定の適用については、当該認可に係る二以上の事業に使用されるすべての労働者は、これらの事業のうち厚生労働大臣が指定するいずれか一の事業に使用される労働者とみなす。この場合においては、厚生労働大臣が指定する一の事業以外の事業に係る保険関係は、消滅する。

 事業主が同一人である2以上の継続事業であって、一定の要件に該当するものに関し、当該事業主が当該2以上の事業について成立している保険関係の全部又は一部を一の保険関係とすることにつき申請をし、厚生労働大臣の認可があったときは、この法律の規定の適用については、当該認可に係る2以上の事業に使用されるすべての労働者は、これらの事業のうち厚生労働大臣が指定するいずれか一の事業に使用される労働者とみなす。この場合においては、厚生労働大臣が指定する一の事業以外の事業に係る保険関係は、消滅する。

継続事業一括の要件

 2以上の継続事業の一括が行われるのは、次の(1)~(3)のすべてを満たす必要がある。(則10条)
(1)事業主が同一人であること
(2)それぞれの事業が、次のいずれか一のみに該当するものであること
 a.二元適用事業であり、労災保険に係る保険関係が成立しているもの
 b.二元適用事業であり、雇用保険に係る保険関係が成立しているもの
 c.一元適用事業であり、労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立しているもの
(3)それぞれの事業が、事業の種類(労災保険料率における事業の種類をいう)を同じくすること

継続事業の一括が行われた事業の名称、所在地等の変更

指定事業指定事業以外
届出名称、所在地等変更届継続被一括事業名称、所在地変更届
提出期限変更を生じた日の翌日から起算して10日以内遅滞なく
提出先所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所指定事業に係る所轄都道府県労働局長

コメント