新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対しては、雇用調整助成金の特例措置等の実施により支援策が講じられています。迅速に支給決定できるよう、申請手続の簡素化されています。
一方で、雇用調整助成金等に係る不正事案の内容が広域化、巧妙さを増す、指南役の存在が窺われる等、対応の困難さが高まるなか、不正事案についての報道が相次ぐなど社会的な関心も高まっており、厚生労働省として不正受給について厳正に対処する必要があるのです。
たとえわずかな日数であっても、休業等を水増ししたり、教育訓練中に通常業務を行ったことを隠して申請することなどは不正受給にあたり、返還額は水増しなどを行った額にとどまりません。
「他の事業所もやっている」「どうせ見つからないだろう」という安易な気持ちは禁物です。その不正受給が、会社や従業員の将来に重大な影響を与える可能性があります。
事業所名等の積極的な公表と予告なしの現地調査
■不正受給した事業所名等が公表されます。
■都道府県労働局が、事前予告なしの現地調査(事業所訪問・立入検査等)を行います。
■不正「指南役」の氏名等も公表の対象となる場合があります。
返還請求(ペナルティ付き)
■「不正発生日を含む期間以降の全額」+「不正受給額の2割相当額」(ペナルティ)+「延滞金」の合計額を返還請求されます。
5年間の不支給措置
■雇用調整助成金だけでなく、他の雇用関係助成金も5年間の不支給措置となります。
■不正受給は、会社や従業員の生活に深刻な影響を招きます。
捜査機関との連携強化
■都道府県労働局は、不正受給対応について都道府県警察本部との連携を強化します。
■悪質な場合、捜査機関に対し刑事告発を行います。
不正受給は「刑法第246条の詐欺罪」等に問われる可能性があります。
各事案における対応は、不正受給の金額や不正受給に至る経緯や動機、反省の有無などの事情などの様々な事情を総合的に判断して決しているものと思われます。
不正受給の例
■雇用関係のない者を雇用関係があることとした例
■休業の実態がないのに休業を行ったこととした例
■休業手当を支払った事実がないのに支払ったこととした例
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