退職後に健康保険をどうするかは、家計やライフプランに大きな影響を与えるため慎重に考える必要があります。「任意継続」の選択が良いかどうかは、以下の3つの選択肢を比較して判断しましょう。
任意継続被保険者制度
退職前に加入していた健康保険を最長2年間継続できる制度。
条件
- 退職日までに継続して2カ月以上加入していたこと。
- 退職後20日以内に申請すること。
特徴
- 保険料は、在職時の保険料の全額(会社負担分も含む)を自己負担。ただし、保険料には上限があり、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、30万円の標準報酬月額により算出した保険料となります。
- 保険料=退職時の標準報酬月額 × 保険料率 × 2
- 被扶養者もそのまま保険に加入可能。
- 医療サービスの内容(給付範囲)は在職時と同じ。
メリット
- 保険内容が変わらないため、継続利用が便利。
- 被扶養者が多い場合、任意継続の保険料が割安になることがある。
- 収入がゼロになっても保険料が変わらない。
デメリット
- 保険料負担が高くなる(特に独身者や扶養者がいない場合)。
- 最長2年で終了するため、その後の保険の切り替えが必要。
国民健康保険(国保)に加入
退職後、自治体の運営する国民健康保険に切り替える方法。
特徴
- 保険料は、前年の世帯収入や財産(資産割)に基づいて計算されます。
- 所得が少なければ保険料が減額されることも。
- 世帯人数が多いと割高になる可能性がある。
メリット
- 所得が低い場合、任意継続より保険料が安くなる可能性がある。
- 自営業者や無職者、扶養されない家族などがいる場合に対応しやすい。
デメリット
- 被扶養者としての枠がないため、個人単位で加入(世帯全員がそれぞれ保険料を支払う)。
- 医療給付内容が健康保険(任意継続)より少し劣る場合がある。
家族の健康保険に加入(被扶養者になる)
家族(配偶者や親など)が勤務している場合、その健康保険の扶養に入る方法。
条件
- 所得が一定基準以下(130万円以下、60歳以上または障害者は180万円以下)。
- 扶養者が加入している健康保険組合の規定に適合すること。
メリット
- 保険料がかからない(扶養者が負担するため、本人の保険料はゼロ)。
- 医療給付内容は保険組合に準じる。
デメリット
- 扶養条件を満たさない場合は加入できない。
- 家族に扶養者がいない場合、この選択肢は利用不可。
任意継続にすべきかの判断ポイント
- 保険料の比較
- 任意継続の場合、「標準報酬月額」によるため、退職時の収入が高いほど保険料が高額になります。ただし、保険料には上限があり、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、30万円の標準報酬月額により算出した保険料となります。
- 国保の保険料は前年の所得や自治体の計算方法に依存するため、低所得の場合は国保が有利。
- 被扶養者の有無
- 被扶養者がいる場合、任意継続の保険料負担が家族全体でみて安くなるケースが多い。
- 扶養に入れるかどうか
- 家族が扶養可能であれば、それが最も経済的。
- 任意継続の期間終了後の切り替え計画
- 任意継続は最長2年です。その後、国保などに切り替える必要があるため、2年後を見据えて計画を立てる。
具体的な行動
- 退職後すぐに、以下を確認します:
- 退職時の標準報酬月額(健康保険組合に確認)。
- 国民健康保険料の試算(自治体に問い合わせ)。
- 扶養条件の確認(家族の健康保険組合に問い合わせ)。
- 比較した上で最適な方法を選びましょう。
迷った場合は、社会保険労務士やFPなどの専門家に相談することで、より具体的なアドバイスを受けられます。
コメント