加給年金は、老齢厚生年金や障害厚生年金を受け取る人のうち、扶養家族(生計を維持されている家族)がいる場合に支給される制度です。年金における家族手当のような制度ということができます。
目的
- 扶養家族への支援
年金受給者が扶養する配偶者や子どもを支えるために、家計を補助する役割を果たします。 - 老後生活の安定
特に配偶者や子どもがいる家庭の老後生活を安定させるための仕組みとして、公的年金を充実させる目的があります。
要旨
支給要件
- 老齢厚生年金または障害厚生年金を受給していること
- 老齢基礎年金ではなく、老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上あること)を受給している人が対象。
- 障害厚生年金を受給している場合は、配偶者に対する加給のみです。
- 扶養家族がいること
- 扶養している家族が「一定の要件」を満たす必要があります(対象者は後述)。
- 65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者自身が老齢年金を受給していないこと
- 配偶者が老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取るようになると、加給年金の対象から外れます。
支給額
加給年金の額は、扶養する家族の種類や人数によって異なります。2024年現在の例を挙げると:
- 配偶者:年間約224,700円
- 第1子・第2子:1人につき年間約224,700円
- 第3子以降:1人につき年間約74,900円
支給額は、毎年の物価や賃金の変動に応じて改定される場合があります。
支給開始と終了
- 開始時期:
老齢厚生年金または障害厚生年金の受給開始と同時に、条件を満たせば支給されます。 - 終了時期:
- 扶養している家族が要件を満たさなくなった場合(例:配偶者が65歳になり年金を受給開始した場合や、子が18歳年度末を超えた場合)。
- 受給者本人が老齢厚生年金を受給しなくなる場合。
対象者
配偶者
- 老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上あること)または障害厚生年金を受給している人が扶養する配偶者。
- 条件:
- 65歳未満であること。
- 被保険者期間が20年以上の老齢厚生年金や退職共済年金、あるいは、障害厚生年金や障害基礎年金または障害共済年金等を支給されていないこと。
したがって、配偶者が65歳になると、配偶者の要件である65歳未満を満たさなくなってしまいますので、加給年金の支給はされなくなります。
子
- 次のいずれかを満たす子が対象です:
- 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子。
- 障害等級1級または2級の障害状態にある20歳未満の子。
留意点
- 加給年金の申請
- 年金受給の際に申請が必要です。扶養家族が増えた場合も、追加申請が必要です。
- 調整の可能性
- 配偶者が他の年金を受給する場合、加給年金が減額または打ち切られる可能性があります。
- 在職老齢年金との関係
- 在職中で年金が調整されている場合、加給年金も影響を受ける場合があります。
まとめ
加給年金制度は、扶養家族がいる年金受給者の家計を支援する目的で設けられた制度です。老齢厚生年金や障害厚生年金の受給者が対象で、扶養している配偶者(65歳未満)や子(18歳年度末までなど)に対して支給されます。申請が必要であり、扶養状況に変化があった場合には速やかに手続きを行うことが重要です。
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