振替加算とは?

 振替加算は、国民年金法に基づく制度で、厚生年金の被保険者であった夫が老齢厚生年金を受給する際、その妻が基礎年金のみを受給する場合に、妻の基礎年金額に加算される仕組みです。これは、女性の短期間就労や専業主婦であった期間が多い場合に、年金額が少なくなるのを補填する目的で設けられています。

制度の背景

  • 厚生年金が整備される以前、または制度が未熟だった時代には、主に男性が外で働き、女性が家庭内で活動することが多かったため、女性の年金額が少なくなるケースが多々ありました。
  • このような世帯では、妻の基礎年金のみの年金額では生活費に不足が生じる可能性が高いため、夫が受け取る老齢厚生年金の一部を「振り替え」て妻に加算する形で補う仕組みが導入されました。

振替加算の主な条件

振替加算を受けられるかどうかは、次の条件を満たす必要があります。

  1. 夫が老齢厚生年金を受給していること
    • 夫が厚生(共済)年金に加入していた期間が20年(240月)以上あり、老齢厚生(共済)年金を受給していること。
    • 夫が障害(共済)年金を受給していること。ただし、障害基礎年金を併せて受給していることが必要。
  2. 妻が一定の基礎年金額しか受け取れないこと
    • 妻が国民年金(基礎年金)のみを受給しており、老齢厚生年金などの厚生年金部分を受給していない場合。
  3. 妻が生年月日の要件を満たすこと
    • 大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた妻が対象。
    • それ以降に生まれた方は、専業主婦期間も「第3号被保険者」として基礎年金が充実したため、振替加算の対象外。
  4. 65歳に達していること
    • 65歳に達した日において夫の扶養になっていること

加算額

振替加算の金額は、生年月日に応じて異なります。具体的な金額は法律に基づいて毎年改定されますが、一般的には生まれた時期が早いほど加算額が高くなる傾向があります。

対象外となる場合

次のケースでは振替加算を受けることができません。

  1. 妻が厚生年金や共済年金を受給している場合
    • 老齢基礎年金に加え、厚生年金などの受給がある場合は対象外。
  2. 夫が老齢基礎年金しか受けていない場合
    • 老齢厚生年金を受け取っていない場合は加算されません。
  3. 妻が昭和41年4月2日以降に生まれている場合
    • この場合は振替加算が適用されません。

振替加算の手続き

特別な手続きは必要ありません。
日本年金機構が受給者の年金状況を確認し、条件を満たしている場合は自動的に加算されます。ただし、状況により手続きが必要になる場合もあるため、詳細は年金事務所で確認してください。

まとめ

 振替加算は、高齢夫婦の妻に基礎年金額のみでは不足する可能性がある場合に、夫の老齢厚生年金の一部を補填する形で支援する制度です。条件を満たしていれば自動的に適用されますが、生年月日や妻の他の年金受給状況によって対象外となることもあります。正確な確認には、日本年金機構や年金事務所への問い合わせをおすすめします。

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