老齢年金の改正(受給開始時期の選択肢の拡大)

この改正は、2022年(令和4年)4月から適用され、2022年(令和4年)4月1日以降に70歳に到達する方(1952年(昭和27年)4月2日以降に生まれた方)が対象です。なお、現在65歳からとなっている年金支給開始年齢の引上げは行いません。

改正前

受給開始時期

原則として、65歳から

希望すれば60歳から70歳の間で自由に受給開始時期を選ぶことが出来ます。

65歳より早く受け取り始めた場合(繰上げ受給)には減額(最大30%減額)した年金を、65歳より遅く受け取り始めた場合(繰下げ受給)には増額(最大42%増額)した年金を、それぞれ生涯を通じて受け取ることができます。

改正後

受給開始時期

原則として、65歳から

希望すれば60歳から75歳の間で自由に受給開始時期を選ぶことが出来ます。

65歳より早く受け取り始めた場合(繰上げ受給)には減額(最大24%減額)した年金を、65歳より遅く受け取り始めた場合(繰下げ受給)には増額(最大84%増額)した年金を、それぞれ生涯を通じて受け取ることができます。

60歳65歳70歳75歳
支給率 76%100%142%184%
※繰下げは66歳以降、月単位でできますが、上記の表では1年単位の繰下げ増額率を示しています。

受給開始時期による年金総額

受給開始時期 60歳から

60歳から受け取り始めた場合(繰上げ受給)には毎年「76」(65歳より受け取り始めた場合を100とする。) を生涯に渡り受け取ることになります。

支給開始時期と年齢別受取総額

60歳 65歳 70歳 75歳
60歳 76
80歳 1596160015621104
81歳 1672170017041288
85歳 1976210022722024
65歳から受け取る年金を100とする

この場合、

65歳支給開始の人に80歳で、受取総額は抜かれてしまいます。

70歳支給開始の人に81歳で、受取総額は抜かれてしまいます。

75歳支給開始の人に85歳で、受取総額は抜かれてしまいます。

受給開始時期 65歳から

65歳から受け取り始めた場合(原則通り)には毎年「100」を生涯に渡り受け取ることになります。

支給開始時期と年齢別受取総額

60歳 65歳 70歳 75歳
65歳 456 100
80歳 1596160015621104
81歳 1672170017041288
86歳 2052220024142208
65歳から受け取る年金を100とする

この場合、

60歳支給開始の人に80歳で受取総額は追い越します。

70歳支給開始の人に81歳で受取総額は抜かれてしまいます。

75歳支給開始の人に86歳で受取総額は抜かれてしまいます。

受給開始時期 70歳から

70歳から受け取り始めた場合(繰下げ受給)には毎年「142」(65歳より受け取り始めた場合を100とする。) を生涯に渡り受け取ることになります。

支給開始時期と年齢別受取総額

60歳 65歳 70歳 75歳
70歳 814600142
81歳 1672170017041288
91歳 2432270031243128
65歳から受け取る年金を100とする

この場合、

60歳支給開始の人に81歳で受取総額は追い越します。

65歳支給開始の人に81歳で受取総額は追い越します。

75歳支給開始の人に91歳で受取総額は抜かれてしまいます。

受給開始時期 75歳から

75歳から受け取り始めた場合(繰下げ受給)には毎年「184」(65歳より受け取り始めた場合を100とする。) を生涯に渡り受け取ることになります。

支給開始時期と年齢別受取総額

60歳 65歳 70歳 75歳
75歳 814600852 184
85歳 1924210022722024
86歳1998220024142208
91歳 2432270031243128
65歳から受け取る年金を100とする

この場合、

60歳支給開始の人に85歳で受取総額は追い越します。

65歳支給開始の人に86歳で受取総額は追い越します。

70歳支給開始の人に91歳で受取総額は追い越します。

結論

男性の平均寿命は81.64年、女性の平均寿命は87.74年(令和2年簡易生命表の概況より)なので、平均寿命まで生きることができれば

男性の場合、70歳

女性の場合、75歳

で支給開始をするのが、計算上一番得をすることになります。

しかしながら、いつまで生きることができるかは、神のみぞ知るですから最終判断は皆様にお任せします

留意事項

今回年単位で計算をしていますが、実際の繰上げまたは繰下げは”月”単位ですることができます。

また、繰上げ及び繰下げは、一回すると取り消しはできないので、慎重にご検討下さい。

最終的にいつから年金を受け取るのかは、皆様ご自身でお決め下さい

参考:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト

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