被災された被保険者の、国民年金保険料の免除について

災害等によって財産に相当な被害を受け、保険料を納付することが困難な場合は、申請により国民年金保険料の免除や厚生年金保険料の猶予を受けることができる制度があります。

国民年金保険料の免除

震災・風水害・火災その他これらに類する災害により、保険料の納付が困難となった場合は、本人からの申請に基づき、保険料の納付が免除される制度があります。震災・風水害等の被災者は、所得に関係なく該当する場合がありますので、市区町村またはお近くの年金事務所へ問い合わせてみることをおすすめします。

免除の基準

震災・風水害・火災その他これらに類する災害により、被保険者の所有に係る住宅、家財その他の財産につき、被害金額がその価格のおおむね2分の1以上の損害を受けた場合が、天災等による免除対象となります。

申請

「国民年金保険料 免除・納付猶予申請書」、「国民年金保険料 学生納付特例申請書」、「被災状況届」を、市町村役場またはお近くの年金事務所へ提出してください。

国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度(災害以外)

国民年金第1号の被保険者は、毎月の保険料を納める必要があります。しかし、所得が少ないなど、保険料を納めることが困難な場合もあります。そのような場合は、未納のままにせず、「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを行うことを検討してみてください。

保険料の免除や納付猶予が承認された期間は、年金の受給資格期間に算入されます。
ただし、将来の年金額を計算するときは、免除期間は保険料を納めた時に比べて2分の1(平成21年3月までの免除期間は3分の1)になります。また、納付猶予になった期間は年金額には反映しません。

受給する年金額を増やすには、保険料免除や納付猶予になった保険料を後から納める(追納する)必要があります。

保険料免除制度とは

所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、本人が申請書を提出し、承認されると保険料の納付が免除になります。
免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。

保険料納付猶予制度とは

20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合には、本人が申請書を提出し、承認されると保険料の納付が猶予されます。これを納付猶予制度といいます。
※平成28年6月までは30歳未満、平成28年7月以降は50歳未満が納付猶予制度の対象となります。

手続きをするメリット

保険料を免除された期間は、老齢年金を受け取る際に2分の1(税金分)受け取れます。(手続きをされず未納となった場合、2分の1(税金分)は受け取れません。)
保険料免除・納付猶予を受けた期間中に、ケガや病気で障害や死亡といった不慮の事態が発生した場合、障害年金や遺族年金を受け取ることができます。
保険料の「免除」と「納付猶予(学生の場合は学生納付特例)」は、以下の表のとおり、その期間が年金額に反映されるか否かで違いがあります。

老齢基礎年金の
受給資格期間への算入
老齢基礎年金の
年金額への反映
障害基礎年金、
遺族基礎年金の
受給資格期間への算入
納付ありありあり
全額免除ありあり
(※2)
あり
一部納付
(※1)
ありあり
(※3)
あり
納付猶予
学生納付特例
ありなしあり
未納なしなしなし
※1 一部納付の承認を受けている期間については、一部納付の保険料を納付していることが必要です。
※2、※3 年金額への反映の割合については、下記「保険料免除・納付猶予された期間の年金額」をご覧ください。
(注)障害基礎年金および遺族基礎年金を受け取るためには一定の受給要件があります。

保険料免除・納付猶予された期間の年金額

老齢基礎年金の年金額を計算するときに、保険料免除・納付猶予の承認を受けた期間がある場合は、保険料を全額納付した場合と比べて年金額が低額となります。

全額免除

平成21年4月分からの保険料の全額が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1(平成21年3月分までは3分の1)が支給されます。

4分の3免除(納めた保険料額 4,150円:令和4年度)

平成21年4月分からの保険料の4分の3が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の8分の5(平成21年3月分までは2分の1)が支給されます。

半額免除(納めた保険料額 8,300円:令和4年度)

平成21年4月分からの保険料の2分の1が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の8分の6(平成21年3月分までは3分の2)が支給されます。

4分の1免除(納めた保険料額 12,440円:令和4年度)

平成21年4月分からの保険料の4分の1が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の8分の7(平成21年3月分までは6分の5)が支給されます。

納付猶予制度

納付猶予の期間は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間に算入されますが、後から追納しないと老齢基礎年金額の受給額が増えることはありません。

1年で受け取れる年金額のめやす(令和4年度の金額)

老齢基礎年金

  • 40年納付した場合…777,800円
  • 40年全額免除となった場合(国庫負担2分の1で算出した場合)…388,900円

障害基礎年金

  • 1級…972,250円
  • 2級…777,800円

遺族基礎年金

  • 子(1人)がある配偶者…1,001,600円(777,800円+223,800円)

手続きをするメリット

保険料免除・納付猶予(学生の場合は学生納付特例)は10年以内であれば、後から追納して老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることが可能です。ただし、保険料免除・納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降は、当時の保険料に一定の金額が加算されます。
なお、追納した場合のその期間は保険料納付済期間に算入されます。

未納のままにしておくと

  • 障害や死亡といった不慮の事態が発生すると、障害基礎年金・遺族基礎年金が受けられない場合があります。
    障害の場合は初診日(※)、死亡の場合は死亡日の月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が3分の2未満の場合、または、初診日または死亡日の月の前々月までの1年間に保険料の未納がある場合は、障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されません。
    (※)初診日は、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。
  • 老齢基礎年金を、将来的に受けられない場合があります。

保険料免除・納付猶予の種類と審査方法

対象者種類審査方法
パート・アルバイト等で厚生年金の未加入者保険料免除制度本人・世帯主・配偶者各々の所得
パート・アルバイト等で厚生年金の未加入者
(20歳から50歳未満)
納付猶予制度本人・配偶者各々の所得
学生国民年金の学生納付特例制度本人の所得
会社の退職者失業による特例免除世帯主・配偶者各々の所得

注意事項

  • 任意加入をされている方はご利用になれません。
  • 障害年金を受けている方や生活保護法による生活扶助を受けている方は「法定免除」となります。
  • 生活保護法による生活扶助以外の扶助その他の援助で、厚生労働省令で定めるものを受けている場合も、該当することがあります。
  • 不慮の事故や病気が発生してから申請を行っても、障害基礎年金の受給資格要件に算入されません。
  • 申請は、原則として毎年度必要です。
  • 保険料免除・納付猶予が承認される期間は、平成26年4月より、保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1ヵ月前までの期間)について、さかのぼって免除等を申請できるようになりました。学生納付特例申請も同様です。

最後に

国民年金保険料にはさまざまな免除制度があります。しかし免除制度は申請主義なので、申請しないかぎり自動的に適用されることはありませんし、免除制度の対象であっても、制度の存在すらだれも教えてくれません。
少しでも気になることがあれば、お知り合いの社会保険労務士、市町村役場またはお近くの年金事務所へ相談しましょう。

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