仕事と不妊治療の両立を支援するために設けられた「両立支援助成金(不妊治療両立支援コース)」は、従業員が不妊治療を受けながら働き続けられるよう、企業が柔軟な働き方を導入した際に支給される助成金制度です。
近年、不妊治療を受ける方の増加に伴い、仕事と治療を両立することの難しさが社会問題となっています。この助成金は、企業が治療と仕事を両立しやすい環境を整えることで、従業員の離職防止や職場定着を支援することを目的としています。

助成金の対象となる企業と支給要件
「不妊治療両立支援コース」は、以下の条件を満たす企業が対象となります。
- 不妊治療を受ける従業員のために制度を導入すること
- 例:短時間勤務制度、テレワーク、フレックスタイム制度、不妊治療のための休暇制度の新設
- 就業規則や労使協定に、両立支援に関する制度を明文化すること
- 実際に従業員が制度を利用し、一定期間継続して勤務すること
- 企業が適切に労務管理を行い、法令違反がないこと
この助成金を活用することで、企業は従業員の健康とキャリアの両方をサポートできるだけでなく、職場環境の改善にもつながります。
助成金の支給額
支給額は、制度の導入や利用実績に応じて異なります。
- A「環境整備、休暇の取得等」:最初の労働者が休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)利用した場合、30万円が支給されます。
- B「長期休暇の加算」:Aを受給後、労働者が不妊治療休暇を20日以上連続して取得した場合、追加で30万円が支給されます。
※A・Bともに1事業主あたり1回限りの支給となります。
具体的な金額は年度ごとに変更される可能性があるため、最新の情報を厚生労働省や助成金支援機関のホームページで確認することが重要です。
両立支援助成金を活用するメリット
企業側のメリット
- 従業員の離職防止と定着率の向上
- 健全な職場環境の整備による企業イメージの向上
- 働きやすい環境を整えることで、優秀な人材の確保が可能
従業員側のメリット
- 仕事を辞めずに安心して不妊治療を受けられる
- 収入の確保ができるため、治療費の負担軽減につながる
- 職場の理解を得られることで精神的な負担が軽減
申請手続きの流れ
- 企業内での制度導入の検討・決定
- 不妊治療と仕事の両立支援に関する企業トップの方針を社内に周知
- 従業員のニーズを把握するための調査を実施
- 不妊治療支援のための就業規則の改定など
- 制度の導入・従業員への周知
- 労働基準監督署への届け出
- 就業規則等の改定を社内に周知
- 従業員の相談窓口となる担当者(選任両立支援担当者)を選任
- 助成金申請書類の作成・提出
- 厚生労働省または都道府県労働局へ提出
- 助成金の支給決定・受給
申請手続きには専門的な知識が必要なため、社会保険労務士などの専門家に相談するとスムーズに進められます。
まとめ
「両立支援助成金(不妊治療両立支援コース)」は、不妊治療を受ける従業員が安心して働き続けられる環境を整えるための重要な制度です。企業側も助成金を活用することで、従業員の働きやすさを向上させると同時に、職場全体の生産性向上につなげることができます。
助成金の申請を検討している企業の方は、最新情報を確認し、必要な手続きを適切に進めていきましょう。
当事務所では、助成金申請のサポートを行っております。お気軽にご相談ください。
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