若者の採用・育成に積極的に取り組む中小企業に対して、厚生労働省が認定する「ユースエール認定制度」。この認定を受けた企業は、就職活動中の若者や大学・高校のキャリア支援機関から注目される存在となります。この記事では、ユースエール認定制度の内容と、認定を受けることのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
1. ユースエール認定制度とは?
ユースエール認定制度とは、若者の採用・育成に積極的で、一定の労働条件や人材育成体制が整っている中小企業に対し、厚生労働省が認定を行う制度です。2015年に制度がスタートし、若者の雇用促進と中小企業の魅力向上を図ることを目的としています。
■ 認定対象の主な条件(※2025年4月現在)
- 常時雇用する労働者が300人以下の中小企業
- 若者(おおむね35歳未満)の正社員採用実績がある
- 若者の離職率が低い(過去3年間の新卒者離職率が20%以下)
- 残業時間が一定基準以下(直近の年間平均が月20時間以下等)
- 年次有給休暇の取得実績が一定以上
- ハラスメント対策や研修制度などの整備
認定を受けると、厚生労働省のサイト「若者雇用促進総合サイト」で紹介されるほか、ハローワークや各種イベントでの支援も受けられます。
2. ユースエール認定企業となるメリット
■ (1)若手人材の採用強化につながる
ユースエール認定企業は、若者の就職活動において“働きやすい会社”として認知されやすくなります。学校のキャリアセンターやハローワークからの紹介件数が増える可能性があり、採用競争力が高まります。
■ (2)企業イメージの向上
厚生労働省が認定する公的な制度であるため、社会的信用力が高まります。ホームページや会社案内に「ユースエール認定企業」と記載することで、企業ブランディングにもつながります。
■ (3)助成金や入札での優遇措置
一部の助成金(例:キャリアアップ助成金)において、加算や申請要件の緩和が受けられることがあります。また、自治体によっては公共調達(入札)における加点評価も受けられます。
■ (4)社員のモチベーション向上
外部からの認定を受けることで、社内の労働環境整備が進み、社員の満足度やモチベーションが向上する好循環が期待できます。
3. ユースエール認定企業となるデメリット
■ (1)認定要件のハードルが高い
ユースエール認定を受けるには、離職率、残業時間、有給取得率など厳格な基準をクリアする必要があります。業種によってはこの要件を満たすのが難しい場合もあり、社内体制の見直しや改革が必要になるケースがあります。
■ (2)申請手続きや書類作成が煩雑
認定申請の際には、労働関係法令の遵守状況や過去の採用・離職データなど、詳細な書類を整える必要があります。中小企業にとっては手間や時間がかかるため、社労士など専門家のサポートが望ましいです。
■ (3)認定後の維持管理が必要
認定は一度取得すれば終わりではありません。年次ごとの報告や実績の維持が求められ、状況によっては認定の更新ができないこともあります。
4. ユースエール認定を受けるには?
まずは地域のハローワークや労働局へ相談し、現在の自社の状況をヒアリングしてもらいましょう。そのうえで、要件に適合するための取り組みや書類整備を行い、申請を進めます。
また、社会保険労務士などの専門家のサポートを受けることで、制度活用や社内制度整備をよりスムーズに行うことができます。
5. まとめ:認定取得は「働き方改革」の一歩
ユースエール認定企業となることは、単なるラベルではなく、「若者が安心して働ける企業づくり」の証となります。制度を上手に活用することで、採用力・企業価値の向上はもちろん、社内の働き方改革にもつながります。
認定要件は決して簡単ではありませんが、自社の雇用環境を見直すよい機会でもあります。ユースエール認定の取得を目指す企業の皆さまは、ぜひ一度、社会保険労務士など専門家にご相談ください。
当事務所では、認定取得に向けたご相談から、労務管理の改善まで幅広くサポートしております。お気軽にお問い合わせください。
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