新社会人のための給与天引き(社会保険料)

毎月の給与から様々なものが天引きされます。その中で法令により給与から天引きされるのは、

  1. 厚生年金保険料
  2. 健康保険料(+介護保険料)
  3. 雇用保険料
  4. 所得税(+住民税)

の4つで、そのほかにそれぞれの会社の規程により天引きされるものがあります。今回はその中で1から3について解説します。

厚生年金保険料

 厚生年金保険は将来受け取ることができる年金制度のことです。
年金は自分のための積立金ではなく、高齢者世代の年金給付に必要な費用を補う制度です。

 中には自分は厚生年金には加入しているが国民年金には加入していないと思っている方がいます。厚生年金保険料しか天引されていないのでそう思ってしまうようです。実際には厚生年金の加入者は国民年金にも同時に加入しています。そのため将来老齢厚生年金と老齢基礎年金の2階建ての年金を受け取れる可能性があります。

 厚生年金は一定の条件を満たせば70歳未満の者全員が加入します。本来、国民年金の加入は20歳からですが、厚生年金に加入する20歳未満の方も年金制度に加入することになります。自分の意思で加入非加入を決定することはできません。

保険料

 保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に保険料率(183/1000)を掛けて計算され、事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。

 厚生年金保険では、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を、保険料や年金額の計算に用います。
 現在の標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から32等級(65万円)までの32等級に分かれています。
また、毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われます(定時決定)。

 そのため、毎月の給与からは残業手当等の増減があっても原則1年間は同じ保険料額が天引きされます。また、定時決定の算定月以後に報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合には、標準報酬月額の改定が行われます(随時改定)。

保険給付

  • 年金の受給資格期間が10年以上ある方が一定の年齢に達すると、老齢年金を受け取ることができます。
  • 病気やけがで障害が残った場合、障害年金を受け取ることができる場合があります。
  • 身近な方が亡くなった場合、ご遺族の方が未支給年金や遺族年金等を受け取ることができる場合があります。

その他

 従来20歳未満で初めて厚生年金に加入した場合、国民年金手帳が発行されていましたが、2022年4月より国民年金手帳は廃止され基礎年金番号通知書が発行されることになりました。

健康保険料

 健康保険は、病気やケガをしたときに役立つもの。自己負担30%で病気やケガの治療を受けることが出来ます。また本人だけではなく、扶養家族(配偶者や子供、両親など)の分もすべて30%負担で済むようになります。

 また、健康保険には、全国健康保険協会(協会けんぽ)と健康保険組合が管掌する2種類があり、負担する保険料は全国健康保険協会(協会けんぽ)は各都道府県毎及び各健康保険組合毎に異なります。

保険料

 保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に保険料率を掛けて計算され、事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。

 健康保険では、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を、保険料や年金額の計算に用います。
 現在の標準報酬月額は、1等級(5万8千円)から50等級(139万円)までの50等級に分かれています。(厚生年金保険より等級が多くなっています)
また、毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われます(定時決定)。

 そのため、毎月の給与からは残業手当等の増減があっても原則1年間は同じ保険料額が天引きされます。また、定時決定の算定月以後に報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合には、標準報酬月額の改定が行われます(随時改定)。

健康保険と厚生年金を二つまとめて「社会保険」といいます。

保険給付

  • 医療費の自己負担が30%になります。
  • 出産時に一時金を受け取れます。本人が出産した場合、出産時の休暇中一定の期間手当が受け取れます。
  • 業務外の病気やけがで休職し、会社から給料が支払われない場合、会社を休んでから4日目から最長1年6か月の間、手当が支給されます。
  • 医療費が高額になった場合、一定額の負担で済みます。

 なお、出産手当金や傷病手当金などの給付に関しては、上乗せや支給期間の延長などの独自の給付を行う健康保険組合もあります。

介護保険料

 40歳以上の人に加入が義務付けられているのが介護保険です。そのため40歳未満の人(または65歳以上)は介護保険料は天引きされません。

 但し、被保険者本人が40歳未満または65歳以上でも、被扶養者が40歳以上65歳未満の場合には、介護保険料を徴収する健康保険組合もあります。

この保険料額についても、健康保険と同じように標準報酬の等級によって決まります。

雇用保険料

 雇用保険とは、失業保険のことです。(正式名称は雇用保険の失業給付と言います)
失業保険は会社を退職した際に支給される保険です。この保険料として毎月一定額を支払っています。

雇用保険料も社会保険と同様に会社側も支払います。金額的にも社会保険ほど高額ではありません。

保険料

 雇用保険では、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与に保険料率を掛けて計算され、事業主と被保険者とがそれぞれ負担します。

各事業における労働者の負担率は 一般の事業…3/1,000、農林水産・清酒製造の事業…4/1,000、建設の事業…7/1,000となります。(2022年10月改定が予定されています。)
これは一般の事業に勤務し給料30万受け取っている人は0.3%である900円を毎月支払っていることになります。

 なお、雇用保険料は厚生年金や健康保険と違い、残業手当等の増減があれば保険料額が変動します。

保険給付

一定の条件を満たせば、下記の場合に給付を受けることができます。

  • 労働者が失業してその所得の源泉を喪失した場合
  • 労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合
  • 労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合
  • 労働者が子を養育するための休業をした場合
  • 労働者が親族を介護するための休業をした場合 他

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