新型コロナウイルス感染症対策として実践している新しい働き方・休み方を今後も継続するには、計画的な業務運営や休暇の分散化に役立つ「年次有給休暇の計画的付与制度」、労働者のさまざまな事情に応じた柔軟な働き方・休み方に役立つ「時間単位の年次有給休暇制度」の導入が効果的です。
この夏、労使一体となって年次有給休暇を上手に活用するために、各制度の導入を検討してみましょう。
年次有給休暇の計画的付与制度
年次有給休暇が職場の雰囲気により取得しにくい状況があるため、年次有給休暇の付与日数のうち、5日を除いた残りの日数については、労使協定を締結すれば、年次有給休暇を計画的に取得することができる制度を規定し、労働時間の短縮を図るための制度です。この制度を導入している企業は、導入していない企業よりも年次有給休暇の取得率が高くなっており、労働基準法を遵守する観点からも年次有給休暇の計画的付与制度の導入は重要となります。
企業または事業場全体の休業による一斉付与方式
全労働者に対して同一の日に年次有給休暇を付与する方法。
製造部門など、操業を止めて全労働者を休ませることのできる事業場などで活用されています。
班・グループ別の交代制付与方式
班・グループ別に交替で年次有給休暇を付与する方法。
流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業、事業場で活用されています。
年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式
年次有給休暇を付与する日を個人別に決める方法。
夏季、年末年始、ゴールデンウィークのほか、誕生日や結婚記念日など労働者の個人的な記念日を優先的に充てるケースがあります。
時間単位の年休制度
まとまった日数の休暇を取得するという年次有給休暇制度の趣旨を踏まえつつ、仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるようにするための制度で、年次有給休暇の付与は原則1日単位ですが、年5日の範囲内で、時間単位での取得が可能となります。
新しい生活様式のためには、新しい働き方と休み方が求められます。 時差通勤には、始業・終業時刻の変更やフレックスタイム制のほか、時間単位の年次有給休暇の柔軟な活用も考えられます。
なお、時間単位の年次有給休暇制度を導入する場合には、就業規則による規定と労使協定の締結が必要になります。
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