公的給付口座登録法の改正により、主に以下のような点が変わりました。

公的給付口座登録法(公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律)の改正により何が変わったのか、解説しています。

1. 改正の背景

近年、災害時や新型コロナ対策において「迅速な給付金の支給」が求められる場面で、本人確認や振込先確認に時間がかかり、支給が遅れるケースが多発しました。

これを受けて、政府は「給付金を迅速かつ確実に届ける仕組み」を整備するために、マイナンバーと預貯金口座をひも付ける法的枠組みを整える法改正を進めました。

2. 主な改正ポイント

① 預貯金口座のマイナンバー登録が原則義務化に近づく

これまで:
→ マイナンバーと預貯金口座の紐づけは「任意」登録(希望者のみ)

改正後:
一人一口座を「公的給付の受取口座」として原則登録(義務ではないが、事実上の標準化)
→ 通称「公金受取口座」と呼ばれる

※2022年の法改正により制度化されたが、2025年度以降の運用強化に向けて環境整備が進んでいます。

② マイナポータルを通じて口座登録・確認が可能に

  • 国民一人ひとりが、マイナポータル上で自分の公金受取口座を登録・確認・変更できるようになった
  • 一度登録すれば、各種給付(児童手当、年金、所得税還付など)で共通利用が可能
  • 事務手続きの簡略化・迅速化が進む

③ 国や自治体による利用の範囲が拡大

  • 従来は「災害給付」や「コロナ対策給付」などに限定されていたが、
     改正後は「年金」「児童手当」「税還付」など、より広範囲な公的給付に利用可能
  • 自治体ごとに異なっていた給付事務の効率化も期待される

④ 本人確認手続きの省略が可能になる場合も

  • 登録された口座は「本人のものであること」が前提のため、
     給付手続き時にあらためて本人確認書類を提出する手間が省ける
  • 特に高齢者や障害者、災害被災者にとって大きなメリット

3. 直近の改正情報

① 口座登録法の本格運用開始(2024年4月施行)

  • 制度自体は 令和3年(2021年)に法律制定(令和3年法律第38号)。
  • 2024年4月 から制度が施行され、国(マイナンバーポータル)での公金受取口座登録が可能に。
  • 2025年4月以降は、すべての金融機関窓口でも同様の登録が可能になりました。

② 施行規則の改正実施(2025年3月3日付 庁令)

  • 2025年3月3日付で、制度を具体化する施行規則が一部改正されました(デジタル庁令第1号)。
  • この改正により、登録手続きの具体的なルールや行政機関間の情報連携方式が明確化され、実務運用が円滑になるよう整備が進んでいます。

③ まとめ:直近の改正ポイント

改正・施行日内容
2024年4月マイナポータルによる公金受取口座の登録が可能に(口座登録法施行)
2025年3月3日施行規則一部改正(登録手続き・行政手続きのルール明文化)
2025年4月金融機関窓口でも登録可能に(制度の本格実用化)

4. 改正の意義と今後の展開

① 改正の意義

  • 2024年4月施行によって、マイナポータル経由での公金受取口座登録が始まり、国民の利便性向上がスタート。
  • 2025年3月の施行規則改正で、制度の詳細設計や利用ルールが明文化され、金融機関窓口でも利用可能になったことで、利用者の選択肢が広がりました。
  • また、同時期に預貯金口座へのマイナンバー紐付けに関する「口座管理法」によって、相続時照会や災害時口座照会などの追加機能も整備されました。

② 今後の展開

  • 登録は任意ではあるものの、「未登録だと給付が遅れる」「登録者が優先される」といった実務が進む可能性あり
  • 不正受給対策のため、登録口座は「本人名義限定」とされ、第三者口座の登録は不可
  • 登録した口座情報は、利用目的を明示した上で行政機関間で共有される(プライバシー保護に配慮した運用)

5. 社会保険労務士としての支援ポイント

社会保険労務士として、次のような支援が考えられます:

  • 企業内での従業員向け説明会の実施や文書整備
  • 高齢者・障害者等へのマイナンバー制度の活用支援
  • 公的給付と公金受取口座の関係の整理(年金、育児休業給付など)
  • 職場での個人情報保護管理体制の構築支援

6. まとめ

改正前改正後(ポイント)
マイナンバーと口座の紐づけは任意・限定利用原則一人一口座の登録が前提に(公金受取口座)
給付手続きは都度申請・本人確認が必要登録口座に迅速給付+本人確認の省略可能
利用範囲は限定的(災害等)年金、児童手当、税還付等に広く利用可能

この制度により、公的給付の受け取り手続きが簡便かつスピーディになり、行政や金融機関の事務負担も軽減されます。
社会保険労務士としては、従業員やお客様向けに制度の周知・活用支援、マイナンバー・口座管理についての相談窓口としての役割を担う必要があります。

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