「贈与税」と「相続税」
目次
あえて「贈与税」を払う、その納得の理由とは
例えば、相続人が配偶者無し、子ども2人の場合には、相続税の対象となる財産がおおよそ7000万円(小規模宅地特例などを使った後の金額)を超える場合には、110万円を超える贈与をして、贈与税を先に払ったほうが有利になります。
ただ、このあたりの見極めは、遺産の分け方や正確な土地評価額等が決まっていないと結論を導き出せないため、相続税に強い税理士に相談の上、最終的に判断しましょう。
また、不動産の贈与は要注意です。これはアパートの贈与のときにも出てきますが、登録免許税や不動産取得税、司法書士費用などのコストがかかるので、アパート等の贈与のときにはそうした点も注意しましょう。
贈与税を支払って贈与する場合と、相続税を払って遺贈する場合の比較
贈与税を支払って財産を贈与する場合と、相続税を払って遺贈する場合を比較する際、いくつかの重要なポイントがあります。
税率の違い
- 贈与税:
- 贈与税は累進課税で、年間の贈与額に応じて税率が高くなります。最高税率は55%(2024年時点)。
- 贈与税の基礎控除は110万円/年で、これを超える贈与に対して課税されます。
- 相続税:
- 相続税も累進課税で、基礎控除額(3,000万円 + 600万円×法定相続人の数)があり、これを超えた財産に対して課税されます。
- 税率は相続財産の総額に基づき、10%から最大55%となりますが、基礎控除や各種の控除を適用できるため、実質的に贈与税より軽減される場合があります。
控除と特例の違い
- 贈与税:
- 生前贈与には年間110万円の基礎控除があるため、少額の贈与を分散して行うことで、節税が可能です。
- 住宅取得資金の贈与や教育資金贈与など、特定の目的に対しては非課税枠を利用できる制度があります。
- 相続税:
- 相続では、配偶者には「配偶者の税額軽減」があり、配偶者が取得する財産については、1億6,000万円または法定相続分まで無税になります。
- また、小規模宅地等の特例や未成年者控除、障害者控除などの控除制度が充実しています。
タイミングの違い
- 贈与税:
- 生前に計画的に贈与を行うことで、財産の分割が容易になり、相続発生時のトラブルを避けられる場合があります。
- ただし、贈与者が3年以内に亡くなった場合には、その贈与財産は相続財産に加算され、相続税の対象となるため、早めの贈与が重要です。
- 相続税:
- 相続は亡くなった時点で一度に財産が移転します。生前贈与を行わない場合、相続税の申告と納税が遺族に求められるため、事前に計画を立てることが必要です。
総合的なコストの違い
- 贈与税:
- 贈与税は控除額が少ないため、高額な贈与には高い税率が適用されます。
- 複数年にわたって計画的に贈与を行い、基礎控除や特例を活用すれば、節税のメリットがあります。
- 相続税:
- 相続税は、基礎控除や配偶者控除をうまく活用すれば、相続財産の多くを非課税にすることも可能です。ただし、高額の財産がある場合には、相続税の負担が大きくなることもあります。
まとめ
実は、贈与税は払ったほうが、得になるケースがあります。相続税の負担よりも贈与税の負担のほうが少なく済む可能性もあるので、最適な贈与は110万円とは限りません。
その理由は、「相続は一度だけしかできないが、贈与は何度でもできる」からです。当たり前ですが、人は一度しか死ねません。「今年は半分死ぬので、来年になったら完全に死にます」のようなことはできません。つまり、相続が発生した場合には、そのときに所有している全財産を一度にすべて渡すことになります。
贈与税と相続税の比較では、どちらを選ぶかは、財産の総額や家族の状況によって異なります。長期間にわたって少額の贈与を行うことで、贈与税を軽減することができる一方で、相続時の特例を活用すれば、相続税の方が有利になる場合もあります。

