贈与契約書を作成しよう~税務署から否認されないために
生前贈与は、相続税対策として広く用いられる有効な方法です。しかし、せっかく贈与を行っても、税務署に否認されてしまうと、相続財産として加算され、想定していた節税効果が得られない可能性があります。
本記事では、贈与契約の基本、契約書作成のポイント、否認されるケース、トラブル回避の方法について詳しく解説します。
目次
1. 贈与とは?その基本を理解しよう
贈与とは、贈与者が自己の財産を無償で相手に与えることをいい、受贈者(もらう人)がそれを受け取ることで成立します。つまり、「あげる人」と「もらう人」の双方の合意が必要です。
贈与は口頭でも成立しますが、税務上のトラブルを避けるためには、書面による契約(贈与契約書)の作成が望まれます。
2. 贈与契約書の重要性
贈与契約書は、贈与が実際に行われたことを証明するための大切な書類です。税務署は、形式だけの贈与を厳しくチェックしており、契約書がない場合には、贈与そのものを否認する可能性があります。
■ 贈与契約書に記載すべき主な内容
- 贈与者と受贈者の氏名・住所・生年月日
- 贈与する財産の内容(現金・預金・不動産など)
- 贈与日(贈与の効力が発生する日)
- 贈与額や財産の評価額
- 贈与の意思が双方にあることの明記
- 署名・捺印(実印が望ましい)
必要に応じて、収入印紙を貼付し、契約書を複数部作成して贈与者・受贈者がそれぞれ保管します。
3. 贈与が否認される主なケース
どれだけ契約書を作っても、以下のような実態がない場合には、税務署から否認されることがあります。
■ ① 名義だけの贈与
形式上は贈与されたことになっていても、実際には受贈者が管理していないケース。例えば、子供名義の預金口座に親が入金し、通帳や印鑑を親が管理しているような場合です。
■ ② 贈与の意思が不明確
受贈者が贈与を受けたことを知らない、あるいは贈与に合意していないとされるケース。贈与は双方の合意で成立するため、意思の疎通が証明できないと否認されます。
■ ③ 一括贈与と見なされるケース
毎年110万円ずつ贈与したつもりでも、事前に長期の贈与計画が存在していたと判断されると、一括贈与とされ、非課税枠が適用されなくなることもあります。
■ ④ 贈与が実行されていない
契約書だけ作成し、実際には財産の移動がない場合。現金での手渡しの場合は、領収書などで証拠を残す工夫が必要です。
4. 否認を防ぐためのポイント
贈与を確実なものとするためには、次のような点に注意しましょう。
■ 通帳・印鑑の管理権限を受贈者に移す
名義預金と判断されないよう、受贈者本人が自由に使える口座を用意し、通帳やキャッシュカードも受贈者が管理するようにします。
■ 贈与契約書を毎年作成する
定期的な贈与は、毎年その都度契約書を作成することで、都度の合意を証明できます。
■ 贈与の証拠を残す
銀行振込記録、領収書、会話の記録、日付入りのメールやLINEなど、実際に贈与が行われた証拠をできる限り残しましょう。
5. 贈与税の申告も忘れずに
贈与税は、贈与を受けた人がその年の翌年2月1日から3月15日までの間に申告・納税する必要があります。110万円を超える贈与を受けた場合には、必ず贈与税の申告を行いましょう。
税務署に「適正な贈与である」と認めてもらうためにも、申告は重要な手続きです。
6. まとめ:確実な贈与で、安心の相続対策を
贈与は、相続税の節税に非常に効果的な手段です。しかし、贈与が形式的なものだと判断されて否認されれば、相続財産に加算されてしまい、本来の目的を果たせなくなります。
贈与契約書の正しい作成、贈与の実態を証明する準備、そして専門家の助言が、確実な贈与の第一歩です。ファイナンシャルプランナーとして、皆さまの大切な資産を将来に向けて安心して引き継ぐお手伝いをいたします。
贈与や相続に関してお悩みのある方は、ぜひ一度ご相談ください。

