遺族年金を受取るための条件とは?
突然、配偶者を亡くすという出来事は、心身ともに大きな負担です。そんな中でも、生活の基盤を支えるために知っておきたいのが「遺族年金」の制度です。遺族年金には、遺族基礎年金や遺族厚生年金など、制度ごとに要件や手続きが異なります。
この記事では、「遺族年金を受け取るための条件や必要書類、手続きの流れ」を、社会保険労務士の立場からわかりやすく解説します。
目次
1. 遺族年金とは?―概要と種類
遺族年金とは、被保険者(加入者)が亡くなった場合、その遺族に支給される年金です。日本の公的年金制度に基づき、被保険者の死亡によって生計を立てることが困難になる遺族の生活を支援する目的で支給されます。
主に以下の2つがあります:
- 遺族基礎年金(国民年金)
- 遺族厚生年金(厚生年金)
なお、どの制度に加入していたか、亡くなった方と遺族の関係によって、受給資格の有無や金額が変わります。
2. 遺族基礎年金の受給要件
2-1 対象となる遺族
- 死亡した方に生計を維持されていた18歳到達年度の末までの子どもがいる配偶者、またはその子ども自身。
※ここでいう「子ども」は、障害のある子については20歳未満まで含まれます。
2-2 死亡した方の加入条件
次のいずれかを満たす必要があります:
- 国民年金に加入中に死亡した
- 国民年金に加入していたことがある60歳以上65歳未満で日本国内に居住していた
- 老齢基礎年金を受給中(または受給資格がある)であった
また、死亡日の前日時点で、原則として保険料納付済期間が3分の2以上であることが求められます。
3. 遺族厚生年金の受給要件
3-1 対象となる遺族
- 配偶者(主に妻)
- 子、孫、父母(死亡時55歳以上で60歳から支給)、祖父母など
配偶者に関しては、以下のような区別があります:
- 妻は原則、支給対象(子の有無は問わない)
- 夫は、生計を維持されていたことかつ障害等級1・2級に該当している場合などに限り対象となります
3-2 加入していた制度
死亡した方が厚生年金保険の被保険者であった、または被保険者期間中に初診日がある傷病で死亡した場合に支給されます。
4. 遺族年金の受給手続きの流れ
4-1 手続きの窓口
- 遺族基礎年金のみの場合:お住まいの市区町村役場の国民年金窓口
- 遺族厚生年金を含む場合:年金事務所(日本年金機構)
4-2 必要書類の一覧(代表例)
- 年金請求書(様式:遺族基礎年金・厚生年金用)
- 戸籍謄本(死亡の事実および家族関係が分かるもの)
- 住民票(世帯全員分)
- 死亡診断書のコピー
- 被保険者の年金手帳または基礎年金番号通知書
- 収入証明書(遺族の所得証明書等)
- 振込先口座の通帳の写し
4-3 期限に注意
原則として、5年以内に請求すれば遡って受給が可能ですが、請求が遅れると支給が遅れる、あるいは一部受け取れないことがあります。
5. 遺族年金の金額と計算方法
5-1 遺族基礎年金
令和6年度の支給額は、年額 約795,000円+子の加算です。
| 子どもの人数 | 加算額(年額) |
|---|---|
| 第1子・第2子 | 各 228,700円 |
| 第3子以降 | 各 76,200円 |
5-2 遺族厚生年金
死亡した方の厚生年金報酬比例部分の3/4相当額が基本です。
加えて、一定の条件を満たす妻には中高齢寡婦加算(約586,300円/年)などが支給される場合もあります。
6. 知っておきたい遺族年金の注意点
6-1 子どものいない配偶者は受給できない?
遺族基礎年金は原則として子どもがいる配偶者(または子)に限られます。子がいない配偶者には支給されませんが、遺族厚生年金の対象になる可能性はあります。
6-2 二重に受け取れる?
遺族基礎年金と遺族厚生年金は併給可能です。ただし、他の公的年金(自分の老齢基礎年金など)との併給は制限されることがありますので注意が必要です。
6-3 受給資格を失う場合とは?
以下の場合、遺族年金の受給資格が消失します:
- 再婚した(遺族基礎年金・一部厚生年金対象者)
- 子どもが18歳を超えた年度末を迎えた(子の加算が終了)
7. 社会保険労務士ができる支援とは?
遺族年金の請求は、書類の準備や条件の確認が煩雑で、不備があると支給までに時間がかかる場合があります。
社会保険労務士は、
- 年金制度の適用要件の確認
- 書類の正確な準備・作成
- ご遺族の状況に応じた年金・給付制度のご案内
など、専門的な立場から全面的なサポートを提供しています。
まとめ:遺族年金の申請は早めに、確実に
配偶者を亡くした後の手続きの中でも、遺族年金の請求は生活再建において非常に重要です。必要書類をそろえ、早めに正確な申請を行うことが、スムーズな受給につながります。
手続きや制度について不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することで、安心して次のステップへ進むことができます。
当事務所では、遺族年金の申請をはじめとする各種年金手続きに関するご相談を承っております。ご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。

