高齢者が意外に困る事~買い物・ゴミ出しなど日常生活の支援を考える
目次
1.「まだ元気だから大丈夫」と思っていても…
高齢になっても、自分のことは自分でできると思っている方は多いでしょう。
しかし実際には、買い物、ゴミ出し、病院への通院など、日常のごく当たり前の行動が、徐々に大きな負担になっていくケースが少なくありません。
特に一人暮らしの高齢者が増加している現代では、「誰にも頼れない小さな困りごと」が、生活の質を大きく左右する要因になっています。
総務省の統計によると、65歳以上の一人暮らし世帯は年々増加し、2025年には約900万人に達すると見込まれています。
社会としての支援体制が整いつつあるとはいえ、「ちょっとした日常のサポート」が十分に行き届かない現実もあります。
2.買い物の負担~「重い」「遠い」「支払いが不安」
高齢者の困りごととして最も多く挙げられるのが「買い物」です。
若いころは気にも留めなかったスーパーまでの道のりも、足腰の衰えや交通手段の減少によって、一苦労になります。
特に地方では、「買い物難民」と呼ばれる人が増加しており、食料品や日用品の入手に苦労するケースが後を絶ちません。
また、買い物は単なる「物の購入」だけではなく、支払い・持ち帰り・整理といった動作が伴います。
手の震えや視力の低下でキャッシュレス決済が使いにくい、重い荷物を持ち帰れない、といった問題も深刻です。
【解決策】
- ネットスーパーや生協の宅配サービスの利用
- 地域の移動販売車(自治体や企業が運営)の活用
- 家族が週に1回まとめて買い出しを行う計画づくり
- ファイナンシャルプランナー(FP)による家計管理支援
→定期的な支出を自動引き落としにすることで、現金を持ち歩かずに済み、紛失リスクも減らせます。
3.ゴミ出しの問題~意外に多い「出しに行けない」悩み
次に多いのが「ゴミ出しの負担」です。
ゴミ袋を持って外まで出る、分別をする、収集日のルールを守る――こうした作業が高齢になると大きなストレスになります。
特に、エレベーターのない集合住宅や、坂道の多い地域では、「ゴミを出したくても出せない」状態に陥ることがあります。
自治体によっては、「高齢者ごみ出し支援制度」を設けているところもあり、職員やボランティアが玄関先まで取りに来てくれるケースもあります。
また、地域包括支援センターに相談すれば、福祉サービスや地域ボランティア団体を紹介してもらえることもあります。
【対応策】
- 自治体の「ごみ出し支援制度」の確認
- 民間の「家事代行・見守りサービス」の活用
- 定期的な清掃・整理をサポートする「遺品整理業・生前整理業」の利用
- 家計的な負担を見据えた、FPによる支出設計・公的支援制度の活用アドバイス
4.「ちょっとした困りごと」が引き起こす生活不安
高齢者が「買い物ができない」「ゴミが出せない」という状況になると、
次第に外出の機会が減り、社会的孤立につながるリスクが高まります。
それが引き金となり、うつ状態や認知機能の低下、健康二次被害などを引き起こす可能性もあります。
実際、「孤独死」の背景には、こうした日常生活の困難が重なっているケースが多く報告されています。
日々の生活に不便を感じ始めた時こそ、早めにサポートを求めることが重要です。
5.お金の不安を減らすために~FPができるサポート
日常生活を支えるには、もちろん経済的な基盤も必要です。
「買い物代行や家事支援を頼みたいが、費用が心配」という声はよく聞かれます。
しかし、近年では公的支援制度や助成金を組み合わせることで、無理なくサービスを利用できる場合もあります。
【主な支援制度の例】
- 介護保険サービス(要支援・要介護認定がある場合、生活援助が対象に)
- 地域支援事業(自治体による見守り・移動支援)
- 高齢者向け配食サービス(一部は補助あり)
- シルバー人材センター(低料金で日常の手伝いが可能)
また、FPとしては次のようなサポートも可能です。
- 今後の介護費用や生活費のシミュレーション
- 生活支援サービスを利用するための予算設計
- 年金や福祉手当の受給チェック
- 子どもや親族との金銭管理・契約関係の調整アドバイス
こうした経済的な見通しを持つことで、「支援を受けることへの罪悪感」や「お金の不安」が大きく減ります。
6.地域とのつながりを保つ工夫
支援制度やお金の準備と並んで大切なのが、地域とのつながりです。
特に、自治会・民生委員・地域包括支援センターなどとのつながりを保っておくことで、
「助けが必要なときにすぐ相談できる」環境を整えられます。
最近では、自治体やNPOによる「見守りネットワーク」も拡大しており、
郵便局、電力会社、新聞配達員などが異変に気づいて通報する仕組みも進んでいます。
こうした仕組みを活用することで、孤立や事故のリスクを大きく減らせます。
7.まとめ~小さな不便を放置しないことが大切
高齢者にとっての困りごとは、決して「特別な問題」ではありません。
買い物・ゴミ出し・通院・掃除といった小さな不便が、生活全体の質を左右します。
家族や周囲の人は、まずその「小さなサイン」に気づくこと。
そして本人も、「迷惑をかけたくない」と抱え込まず、
行政・地域・専門家の力を借りることが大切です。
ファイナンシャルプランナーとしては、生活支援サービスを活用しながらも、
家計を無理なく維持できるようライフプラン全体を設計するお手伝いができます。
お金と生活の両面から安心を支える仕組みを整えることが、これからの高齢社会における課題解決の第一歩です。
【まとめ】
- 高齢者の困りごとは「買い物」「ゴミ出し」「通院」など身近なものが多い
- 自治体・地域・家族・専門家が協力して支援体制を整えることが重要
- FPは生活支援と家計設計の両面からサポートが可能
- 小さな不便を放置せず、早めの相談が「安心した老後」への鍵

