年金生活者支援給付金制度の仕組み及び支給要件について
~年金だけでは生活が厳しい方を支える新たな公的給付~
「年金を受給しているが、生活が苦しい」
「年金生活者支援給付金という制度を聞いたが、自分は対象になるのか分からない」
このようなご相談は、年金相談の現場で年々増えています。
年金生活者支援給付金制度は、一定の要件を満たす低所得の年金受給者に対し、
年金に上乗せして支給される公的給付制度です。
本記事では、社会保険労務士として
- 年金生活者支援給付金制度の仕組み
- 支給対象者と支給要件
- 支給額の考え方
- 申請手続きと注意点
について、分かりやすく解説します。
目次
1.年金生活者支援給付金制度とは?
■ 制度創設の背景
日本では高齢化が進み、年金を受給していても、
- 年金額が少ない
- 無年金・低年金状態に近い
といった方が増えています。
そこで創設されたのが、年金生活者支援給付金制度です。
この制度は、
「年金だけでは生活が困難な方に対し、消費税財源を活用して、年金に上乗せして給付金を支給する」
ことを目的としています。
■ 年金とは「別枠」の給付
重要なポイントは、年金生活者支援給付金は“年金そのもの”ではないという点です。
- 年金:保険料を納めた対価としての給付
- 年金生活者支援給付金:生活支援を目的とした福祉的給付
という位置づけになります。
2.年金生活者支援給付金の種類
年金生活者支援給付金には、以下の3種類があります。
① 老齢年金生活者支援給付金
老齢基礎年金を受給している方が対象
② 障害年金生活者支援給付金
障害基礎年金を受給している方が対象
③ 遺族年金生活者支援給付金
遺族基礎年金を受給している方が対象
それぞれ 支給要件や支給額が異なる ため、順に確認していきましょう。
3.老齢年金生活者支援給付金の支給要件
最も問い合わせが多いのが、老齢年金生活者支援給付金です。
■ 基本的な支給要件
以下のすべてを満たす必要があります。
- 65歳以上であること
- 老齢基礎年金を受給していること
- 世帯全員が 市町村民税非課税
- 前年の年金収入額とその他の所得の合計が一定基準額以下であること
■ 所得基準の目安
所得基準は毎年度見直されますが、概ね次のような考え方です。
- 年金収入のみの場合
- 一定額(基準額)以下であること
※詳細な金額は年度ごとに異なるため、個別確認が必要です。
4.老齢年金生活者支援給付金の支給額
■ 月額の基本額
老齢年金生活者支援給付金は、保険料納付済期間に応じて月額が決まります。
- 基準額 × 納付済期間月数 ÷ 480月
という計算方法が用いられます。
■ 満額ではないケースも多い
次のような場合、支給額は少なくなります。
- 国民年金保険料の未納期間がある
- 免除期間が多い
そのため、「対象者=満額支給」とは限りません。
5.障害年金生活者支援給付金の支給要件
■ 対象となる方
以下のいずれかを受給している方が対象です。
- 障害基礎年金1級
- 障害基礎年金2級
※障害厚生年金のみの方は対象外です。
■ 所得制限あり
前年の所得が一定額以下である必要があります。
- 所得が基準を超える場合 → 不支給
- 基準内であれば → 定額支給
■ 支給額
障害等級により支給額が異なります。
- 障害等級1級:高い支給額
- 障害等級2級:1級より低い支給額
6.遺族年金生活者支援給付金の支給要件
■ 対象者
- 遺族基礎年金を受給している配偶者や子
■ 支給要件
- 前年の所得が一定基準以下であること
■ 支給額
障害年金生活者支援給付金と同様に、定額支給となっています。
7.申請は必要?自動的にもらえる?
■ 原則:申請が必要
年金生活者支援給付金は、原則として申請しなければ支給されません。
初回のみ申請が必要で、2年目以降は要件を満たしていれば継続支給されます。
■ 申請の流れ
- 日本年金機構から案内が届く
- 申請書を記入
- 年金事務所へ提出
※案内が届かない場合でも、要件を満たす可能性はあります。
8.支給時期と支給方法
■ 支給時期
- 年金の支給月(偶数月)に
- 年金と一緒に振り込まれる
という仕組みです。
■ 支給名称に注意
通帳には、
- 「ネンキンセイカツシャシエンキュウフキン」
などと表示されます。
9.年金生活者支援給付金を受ける際の注意点
■ 非課税だが所得判定に影響することも
給付金自体は非課税ですが、他の制度(生活保護・各種減免制度)との関係には注意が必要です。
■ 転居・世帯変更時は要確認
- 世帯構成が変わった
- 市町村民税課税世帯になった
場合は、支給停止となることがあります。
10.まとめ~対象になるか分からない方は専門家へ相談を~
年金生活者支援給付金制度は、
- 制度自体を知らない
- 自分は対象外だと思い込んでいる
という理由で、本来もらえるはずの給付を受け取っていない方が少なくありません。
年金額が少ない、生活に不安がある場合は、一度 社会保険労務士や年金事務所へ相談 することをおすすめします。

