遺族年金は相続財産に含まれるのか?
~相続対策・遺族の生活設計で必ず知っておきたい基礎知識~
目次
はじめに 「遺族年金は相続の対象?」という疑問は非常に多い
ご家族が亡くなられた際、遺された方がまず直面するのが相続手続きと今後の生活資金の確保です。
その中で、多くの方が疑問に思うのが、「遺族年金は相続財産に含まれるのか?」という点です。
結論から言うと、遺族年金は原則として相続財産には含まれません。
しかし、制度の仕組みを正しく理解していないと、
- 遺産分割協議でトラブルになる
- 誤った相続対策をしてしまう
- 税金の扱いを勘違いする
といった問題が生じることもあります。
本記事では、ファイナンシャルプランナーの立場から、遺族年金と相続の関係について、制度・法律・実務の視点で分かりやすく解説します。
遺族年金とは?まずは基本を整理
遺族年金の概要
遺族年金とは、国民年金または厚生年金に加入していた人が亡くなった場合に、一定の要件を満たす遺族に支給される公的年金です。
主に次の2種類があります。
- 遺族基礎年金
- 遺族厚生年金
いずれも、遺された家族の生活保障を目的とした制度です。
誰が受け取るのか(受給権者)
遺族年金は、民法上の「相続人」に自動的に分配されるものではなく、法令で定められた「受給権者」が受け取ります。
例えば、
- 配偶者
- 子
- 父母
など、優先順位が明確に定められています。
結論 遺族年金は相続財産に含まれない
法的な位置づけ
遺族年金は、被保険者が亡くなったことを原因として、新たに遺族に発生する権利とされています。
そのため、
- 被相続人(亡くなった方)の財産ではない
- 相続人全員で分けるものではない
という点が重要です。
👉 遺族年金は「相続財産」ではなく「受給権者固有の財産」です。
なぜ相続財産に含まれないのか?
理由は大きく3つあります。
- 生活保障を目的とした社会保障給付であること
- 民法ではなく年金法に基づいて支給されること
- 受給権が被相続人に帰属していないこと
つまり、遺族年金は「遺産」ではなく、遺族の生活を支えるための制度なのです。
相続財産との違いを整理
相続財産に含まれるもの
- 預貯金
- 不動産
- 有価証券
- 自動車
- 借金(負債)
これらは被相続人が生前に所有していた財産であり、相続の対象となります。
相続財産に含まれないもの(代表例)
- 遺族年金
- 生命保険金(受取人固有の場合)
- 死亡退職金(一部例外あり)
これらは、受取人固有の権利として扱われる点が共通しています。
遺産分割協議で注意すべきポイント
「遺族年金も分けるべき」と言われたら?
実務上、「遺族年金も相続財産だから分けるべきでは?」という誤解から、遺産分割協議が紛糾するケースがあります。
しかし、遺族年金は協議の対象外です。
遺族年金を受給していることを理由に、
- 遺産の取り分を減らす
- 金銭的な清算を求める
といったことを一方的に強制することはできません。
もっとも、話し合いは重要
法的には分割不要でも、相続人間の関係性を考慮し、生活状況を踏まえた柔軟な話し合いが必要な場面もあります。
ここに、ファイナンシャルプランナーの中立的な助言が役立ちます。
税金の取り扱い|相続税はかかる?
遺族年金に相続税はかからない
遺族年金は相続財産ではないため、相続税の課税対象にはなりません。
また、
- 非課税枠
- 申告対象
といった問題も原則としてありません。
所得税・住民税は?
遺族年金は、所得税・住民税も非課税です。
そのため、確定申告が必要になることも通常はありません。
👉 税制上も、遺族の生活を守る仕組みが徹底されています。
生命保険金との比較で理解する
よく似た性質を持つ制度
遺族年金と生命保険金は、次の点で似ています。
- 受取人固有の財産
- 原則として相続財産に含まれない
- 生活保障の役割がある
ただし、生命保険金にはみなし相続財産として相続税の対象になる場合があるという点が大きな違いです。
相続対策・ライフプラン上の注意点
「遺族年金があるから安心」は危険
遺族年金は非常に重要な収入源ですが、
- 一生同額とは限らない
- 子の年齢で支給停止になる場合がある
- 将来の生活費すべてを賄えるとは限らない
という点に注意が必要です。
ファイナンシャルプランナーができる支援
- 遺族年金額の試算
- 相続財産とのバランス確認
- 老後資金・生活費のシミュレーション
- 保険・資産形成の見直し
遺族年金と相続をトータルで設計することが、後悔しない人生設計につながります。
よくある質問(Q&A)
Q1:遺族年金を受給していると相続放棄できない?
➡ 相続放棄は可能です。
遺族年金の受給と相続放棄は別の制度です。
Q2:内縁の配偶者でも遺族年金はもらえる?
➡ 一定の要件を満たせば可能です。
ただし、相続人とは別扱いになるため注意が必要です。
まとめ 遺族年金は「相続」ではなく「生活保障」
遺族年金は、相続財産ではなく、遺族固有の生活保障制度です。
正しく理解することで、
- 相続トラブルを防ぐ
- 無駄な税負担を避ける
- 安心した将来設計を行う
ことが可能になります。
相続と年金は密接に関係しているからこそ、早めの情報整理と専門家への相談が重要です。

