遺品整理中に多額の現金が見つかったら?
~「タンス預金」の正しい取り扱いと相続・税務上の注意点~
遺品整理を進める中で、自宅の金庫やタンスの奥、仏壇の引き出しなどから、思いがけず多額の現金が見つかることがあります。
いわゆる「タンス預金」です。
- 「相続税の申告はどうなるの?」
- 「銀行に預け直しても問題ない?」
- 「申告しなかったらバレないのでは?」
こうした疑問や不安を抱く方は少なくありません。
結論から言えば、タンス預金も相続財産であり、正しく申告・管理しなければ大きなリスクがあります。
この記事では、ファイナンシャルプランナーの立場から、
タンス預金が見つかった場合の正しい対応、相続税との関係、やってはいけない行為を、実務目線で詳しく解説します。
目次
タンス預金とは?なぜ多額の現金が残されるのか
タンス預金の定義
「タンス預金」とは、銀行などの金融機関に預けず、自宅で現金のまま保管されているお金を指します。
法律上の正式な用語ではありませんが、相続実務ではよく使われる言葉です。
タンス預金が増えた背景
特に高齢世代では、以下のような理由からタンス預金を選ぶ方が少なくありません。
- 銀行破綻への不安
- ATMやネットバンキングへの抵抗感
- 「いざという時にすぐ使える現金」を持ちたい
- 戦後世代特有の現金志向
結果として、数百万円~数千万円規模の現金が自宅に保管されているケースも珍しくありません。
タンス預金は相続財産になる?
結論:タンス預金も「相続財産」です
被相続人(亡くなった方)が所有していた現金は、保管場所に関係なく、すべて相続財産に該当します。
- 銀行預金 → 相続財産
- 自宅金庫の現金 → 相続財産
- タンスの奥の封筒 → 相続財産
扱いはすべて同じです。
相続税の課税対象になる
相続税は、被相続人が亡くなった時点で所有していたすべての財産に対して課税されます。
したがって、タンス預金も相続税の計算に含めなければなりません。
見つかった現金はどうすればよい?【基本的な流れ】
① 金額を正確に把握する
まずは、現金の総額を正確に確認します。
- 複数箇所に分散していないか
- 外貨・旧札・記念硬貨はないか
- 他の相続人立ち会いのもとで確認する
後々のトラブル防止のため、写真撮影やメモの作成も有効です。
② 相続財産として一覧表に記載
相続税申告や遺産分割協議のために作成する「相続財産目録」には、必ず現金として記載します。
記載例
- 現金(自宅保管分)〇〇円
銀行に預ける前でも、亡くなった時点の残高が基準になります。
③ 相続人間で分け方を決める
タンス預金も他の財産と同様に、
- 遺言書がある場合 → 遺言に従う
- 遺言書がない場合 → 遺産分割協議
によって分配方法を決めます。
「銀行に預け直せばバレない」は本当?
これは非常に危険な誤解です
「現金を自分の口座に入れてから申告しなければ、税務署に分からないのでは?」
そう考える方もいますが、現実はそう甘くありません。
税務署はどうやって把握する?
税務署は、相続税の調査において、
- 被相続人の生前の預金出入金履歴
- 相続人の口座への多額の入金
- 生活費と合わない現金移動
などを細かくチェックします。
特に、相続開始後に相続人の口座へ多額の現金が入金されると、ほぼ確実に確認対象になります。
無申告・過少申告のリスク
タンス預金を申告しなかった場合、
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 延滞税
といった重いペナルティが課される可能性があります。
「申告すれば払う税金より、後で見つかった時の負担の方が圧倒的に大きい」
これは相続税の世界では常識です。
タンス預金はいつの時点で評価する?
相続開始日(死亡日)時点の金額
相続財産の評価は、被相続人が亡くなった日の現金残高です。
- その後に使った
- 銀行に預けた
- 分配した
といった事情は、評価額には影響しません。
タンス預金があると相続税はいくら増える?
タンス預金があることで、
- 相続税の課税対象額が増える
- 基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)を超える可能性が高まる
結果として、「相続税がかからないと思っていたのに、申告が必要になる」ケースも少なくありません。
生前対策としてできること(参考)
もしご本人が元気なうちであれば、タンス預金をそのまま放置することはおすすめできません。
有効な対策例
- 金融機関への預け入れ
- 生前贈与(贈与税の検討が必要)
- 使途を明確にした支出
- 相続人に存在を伝えておく
「隠しておくこと」より、「整理しておくこと」が家族の負担を大きく減らします。
ファイナンシャルプランナーに相談するメリット
タンス預金が見つかった場合、
- 相続税の申告が必要か
- どのタイミングで銀行に預けるべきか
- 相続人間でどう分けるのが公平か
といった判断が必要になります。
ファイナンシャルプランナーに相談することで、
- 相続全体を見渡した資金整理
- 税理士・司法書士との連携
- 将来の二次相続まで見据えたアドバイス
が可能になります。
まとめ|タンス預金は「正直に・正確に」が最善策
遺品整理中に見つかるタンス預金は、驚きと同時に、不安を生みやすい財産です。
しかし、
- タンス預金も立派な相続財産
- 隠すメリットはなく、リスクだけが大きい
- 早めに整理・申告することが最も安全
という点を理解しておくことが重要です。
当事務所では、相続・資産整理・相続税を見据えた資金管理について、ファイナンシャルプランナーの立場から中立的なアドバイスを行っています。
「これって申告が必要?」
「銀行に入れても大丈夫?」
そんな疑問があれば、問題が大きくなる前に、ぜひ一度ご相談ください。

