代償分割とは? ~不動産相続でよく利用される遺産分割方法をファイナンシャルプランナーが解説~

相続が発生したとき、相続人は遺産をどのように分けるかを話し合う必要があります。しかし、遺産の中に自宅や土地などの不動産がある場合、単純に公平に分けることが難しいケースが多くあります。

例えば、

  • 長男が親と同居しており自宅を相続したい
  • 家業を継ぐ子どもに事業資産を承継させたい
  • 遺産の大半が不動産で現金が少ない

といったケースです。

このような場合に活用される方法が「代償分割」です。

代償分割とは、特定の相続人が財産を取得する代わりに、他の相続人へ金銭などを支払って公平を図る遺産分割方法です。

この記事では、相続対策を考える方に向けて、代償分割の仕組みやメリット・デメリット、税金の注意点などをファイナンシャルプランナーの視点から詳しく解説します。

相続財産の分け方にはどんな方法がある?

遺産分割には主に次の方法があります。

  1. 現物分割
  2. 換価分割
  3. 代償分割

次の図は、それぞれの違いをイメージしたものです。

https://images.microcms-assets.io/assets/712e3914f1654d94b0743cddf252fdac/6bd25e9a02e347c99a1a1c4f503118cb/UFJ-news-3_04-01.jpg
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現物分割

遺産をそのまま分ける方法です。
例えば、

  • 長男:土地
  • 次男:預金
  • 長女:株式

といった分け方です。

換価分割

不動産などを売却して現金化し、そのお金を相続人で分ける方法です。

代償分割

一人の相続人が財産を取得し、その代わりに他の相続人へ代償金を支払う方法です。

代償分割とは?

代償分割とは、例えば次のような相続です。

https://www.lvnmag.jp/magazine/release/column/10094/%E4%BB%A3%E5%84%9F%E5%88%86%E5%89%B2%E3%81%AE%E4%BE%8B2.jpg
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例)
相続人:長男・次男

遺産:
自宅不動産 5,000万円

長男が自宅を相続する場合

長男 → 次男へ 2,500万円の代償金を支払う

このようにすることで、実質的には法定相続分に近い形で公平な相続を実現できます。

代償分割が利用される主なケース

代償分割は次のような場合に特に利用されます。

① 実家を相続する人が決まっている場合

親と同居していた子どもが自宅を相続するケースです。

不動産は分割できないため、他の相続人に代償金を支払うことで公平を保ちます。

② 遺産の大半が不動産の場合

遺産が

  • 自宅
  • 土地
  • 賃貸物件

などの場合、現物分割では不公平になりやすくなります。

そのため代償分割が有効になります。

③ 事業承継の場合

会社経営者の相続では

  • 自社株
  • 事業用不動産

を後継者に集中させる必要があります。

その代わりに、他の相続人に代償金を支払うことで公平を図ります。

代償分割のメリット

① 不動産を売却せずに相続できる

換価分割の場合は不動産を売却する必要があります。

しかし代償分割であれば

  • 実家
  • 事業用不動産

をそのまま引き継ぐことができます。

② 公平な相続が実現しやすい

法定相続分に基づいて代償金を支払うことで、不公平感が少なくなります。

相続争いの予防にもつながります。

③ 事業承継と相性が良い

企業経営者の相続では

  • 後継者に株式を集中
  • 他の相続人には代償金

という形で円滑な事業承継が可能になります。

代償分割のデメリット

一方で、注意点もあります。

① 代償金を準備する必要がある

最大の問題は、現金を準備する必要があることです。

例えば

自宅 6,000万円
相続人3人

長男が自宅を取得する場合

長男は
2,000万円 × 2人 = 4,000万円

を支払う必要があります。

資金が不足すると代償分割は成立しません。

② 財産評価でトラブルになりやすい

不動産の評価方法には

  • 路線価
  • 固定資産税評価額
  • 実勢価格

など複数の基準があります。

評価額によって代償金が変わるため、相続人間で意見が対立することがあります。

③ 税金の問題

代償分割でも基本的には相続税が課税されます。

また、代償金の金額が適切でない場合、贈与とみなされる可能性もあります。

そのため、

  • 遺産分割協議書
  • 評価方法

を適切に作成することが重要です。

代償分割と相続税

代償分割では、次のように相続税が計算されます。

例)
遺産総額:6,000万円

長男が不動産を取得し、次男へ3,000万円支払う場合

相続税計算では

長男:3,000万円
次男:3,000万円

として扱われます。

つまり、実質的に公平な相続として税務上も扱われます。

ただし、遺産分割協議書に

「代償金として支払う」

という記載がないと贈与と判断される可能性があります。

代償分割を成功させるポイント

① 代償金の準備

次の方法で準備することがあります。

  • 預貯金
  • 融資
  • 生命保険

特に生命保険は相続対策としてよく利用されます。

② 遺産評価を明確にする

不動産の評価は専門家に依頼することが重要です。

  • 税理士
  • 不動産鑑定士
  • ファイナンシャルプランナー

などの助言が有効です。

③ 遺言書を作成する

遺言書で代償分割を指定しておくことで

  • 相続トラブル防止
  • 手続きの簡略化

につながります。

相続対策として代償分割を考える

代償分割は、次のような家庭で特に重要な相続対策となります。

  • 不動産が多い家庭
  • 同居している子どもがいる
  • 事業承継を予定している

相続対策は、相続発生後ではなく生前に準備することが重要です。

まとめ

代償分割は、不動産など分割しにくい財産を公平に分けるための重要な相続方法です。

ポイントをまとめると次の通りです。

  • 一人の相続人が財産を取得する
  • 他の相続人に代償金を支払う
  • 不動産を売却せずに相続できる

ただし、

  • 代償金の準備
  • 財産評価
  • 税務上の取り扱い

など専門的な知識も必要になります。

将来の相続トラブルを防ぐためにも、早めに専門家へ相談し、適切な相続対策を検討することが大切です。

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