日本に住む20歳から60歳未満のすべての人は、国民年金に加入する義務があります。自営業者や学生、無職の方も例外ではなく、原則として毎月保険料を納めなければなりません。
しかし、「経済的に苦しくて払えない」「払わなくても大丈夫なのでは?」と考え、未納のまま放置してしまう方も少なくありません。
では、国民年金保険料を払わないとどうなるのでしょうか? また、強制徴収や差押えは実際にあるのか? そして、将来の年金額にはどんな影響があるのかを、社会保険労務士の視点から解説します。
1.国民年金保険料を払わないとどうなる?
まず前提として、国民年金は「社会全体で老後を支える仕組み」です。加入は義務であり、未納を続けると次のようなデメリットがあります。
(1)老齢基礎年金がもらえなくなる可能性
老後に受け取れる「老齢基礎年金」を受給するには、10年以上の保険料納付期間(納付済み・免除・猶予を含む)が必要です。
未納が長期間続くと、この資格期間に満たず、年金そのものが受け取れないケースもあります。
(2)年金額が大幅に減る
年金額は「納付した月数」に応じて計算されます。
例えば、令和6年度の老齢基礎年金の満額は月額約66,250円(年額約795,000円)ですが、40年間(480か月)すべて納付した場合に限られます。
もし未納が続けば、その分だけ支給額が減ってしまいます。
(3)障害年金や遺族年金が受け取れない可能性
国民年金は老後の年金だけでなく、病気やケガで障害が残ったときの障害基礎年金や、配偶者や子が受け取れる遺族基礎年金も含まれています。
しかし、保険料を一定期間きちんと納めていないと、これらの年金も受給できない可能性があります。
つまり、未納は将来だけでなく、現在の生活リスクにも直結するのです。
2.強制徴収や差押えは実際にある?
「払わなかったらどうせ請求が来るだけ」と思っている方もいるかもしれません。しかし、近年は未納に対して厳しい対応がとられるようになっています。
(1)特別催告状が届く
まず、未納が続くと「国民年金保険料未納のお知らせ」や「特別催告状」が届きます。これを無視し続けると、さらに厳しい文面の通知に変わっていきます。
(2)督促状の送付
一定期間未納を放置すると、督促状が送付されます。督促状が届いた場合、その翌日から延滞金が発生します。
(3)財産の差押え(強制徴収)
さらに悪質な長期未納者に対しては、財産の差押えが行われます。対象となるのは主に銀行口座や給与です。実際に差押えの事例は全国で発生しており、「払わなくても大丈夫」という認識は誤りです。
3.「払えない」場合の救済制度
経済的に苦しくて保険料を納められない方のために、救済制度が用意されています。未納のまま放置するのではなく、必ず申請を行いましょう。
(1)免除制度
本人や世帯主、配偶者の所得に応じて、全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除が受けられます。免除期間も年金受給資格に算入され、一部は将来の年金額にも反映されます。
(2)納付猶予制度(50歳未満対象)
50歳未満の方は、所得が一定以下の場合に「納付猶予」が認められます。学生については「学生納付特例制度」が用意されています。
(3)追納制度
免除や猶予を受けた期間について、後から10年以内であれば「追納」することが可能です。将来の年金額を増やすために、余裕があるときに活用するのがおすすめです。
4.将来の年金額への影響を具体的にみる
例えば、30歳から60歳までの30年間を未納にしてしまった場合、年金受給資格そのものを失う可能性があります。
一方、同じく30年間でも「免除申請」をしていれば、年金額は減るものの受給資格は確保できるのです。
つまり、未納は「ゼロ」ですが、免除や猶予は「減額」で済むという大きな違いがあります。
5.まとめ:国民年金は「払わない」ではなく「相談を」
国民年金保険料を払わないと、
- 将来の年金額が減る
- 受給資格そのものを失う可能性がある
- 障害や遺族年金が受け取れない
- 最悪の場合、強制徴収や差押えになる
といった重大なリスクがあります。
一方で、経済的に厳しい場合には、免除制度や納付猶予制度を利用することでリスクを避けることができます。
「払えないから未納のまま」ではなく、必ず年金事務所に相談することが重要です。社会保険労務士としても、年金制度は将来の生活の基盤であり、制度を正しく理解し、適切に対応することを強くおすすめします。
👉 当事務所では、国民年金の未納・免除申請・将来の年金見込みなどについてのご相談を承っています。将来の安心のために、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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