新卒社員のみなさんへ~有給休暇の権利獲得と実際の取得方法

新卒で社会人として第一歩を踏み出した皆さんにとって、「有給休暇(年次有給休暇)」はとても重要な労働者の権利です。
しかし、実際に「いつから取れるのか」「どうやって申請するのか」「本当に休んでいいのか」など、不安や疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。

本記事では、社会保険労務士の視点から、新卒社員の方が知っておくべき有給休暇の権利獲得の仕組みと、実際の取得方法、注意点についてわかりやすく解説します。

1. 有給休暇とは? ― 労働基準法で定められた労働者の権利

「有給休暇(年次有給休暇)」とは、給与を受け取りながら休める制度です。労働基準法第39条で規定されており、正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員など、一定の要件を満たすすべての労働者に与えられる権利です。

企業が「うちでは有給はない」「新卒はまだ休めない」などと言ったとしても、法律で定められた権利なので必ず付与されます。

2. 新卒社員が有給休暇を獲得できる条件

新卒で入社した場合、すぐに有給がもらえるわけではありません。法律で定められた条件は次のとおりです。

  • 6か月間継続勤務していること
  • その間の出勤率が8割以上であること

つまり、4月に入社した新卒社員の場合、10月1日の時点で初めて有給休暇が付与されるのが一般的です。

付与日数は何日?

初回に付与される日数は 10日 です。その後、勤務年数に応じて増えていき、最長で20日まで付与されます。

3. 有給休暇はいつまで使える? ― 2年間の時効あり

付与された有給休暇は、2年間有効です。
例えば、2025年10月1日に10日付与された場合、2027年9月30日までに使わなければ消滅します。

そのため、遠慮して使わないでいると、せっかくの有給が消えてしまうことになります。

4. 実際の有給休暇の取得方法

では、新卒社員が実際に有給を取得するにはどうすればよいのでしょうか。一般的な流れを解説します。

(1) 会社のルールを確認

まずは、就業規則や社員ハンドブックを確認しましょう。
「申請は何日前までに必要か」「どのような方法で申請するのか」が定められています。

(2) 上司に申請

有給休暇は「申請」すれば基本的に認められるものです。理由を詳しく伝える義務はなく、「私用のため」で問題ありません。
ただし、業務に支障がある場合、会社は時季変更権を行使して日程を調整することができます。

(3) 休暇取得

承認が下りれば、安心して有給休暇を取得できます。
給与は通常どおり支払われるため、経済的な不利益もありません。

5. 新卒社員が有給を取りやすくするコツ

「せっかく有給があるけど、上司や同僚に気を使って休めない」という声はよく聞きます。そこで、取りやすくするための工夫を紹介します。

  1. 早めに申請する
     計画的に伝えることで、周囲の業務調整がしやすくなります。
  2. 繁忙期を避ける
     会社の繁忙期を理解し、業務に影響が少ない時期に申請するのがベターです。
  3. 引き継ぎを準備する
     自分が休むことで業務が滞らないよう、前もって引き継ぎを行いましょう。
  4. 有給を小分けに使う
     1日まるごとではなく、半日休暇や時間単位の有給を利用するのも有効です(制度がある会社に限る)。

6. 2019年からの「年5日の取得義務」

働き方改革関連法の施行により、2019年4月からは 有給休暇が10日以上付与される労働者に対し、会社は毎年5日以上の取得を義務付ける ことになりました。

これは「社員が自分から言い出せない」状況を改善するための仕組みです。新卒社員も、10月に10日付与されれば、この対象となります。

7. 有給休暇を取得する際の注意点

有給休暇は権利ですが、使い方には注意が必要です。

  • 直前キャンセルや無断取得は避ける
     信頼関係に影響します。必ず事前に調整しましょう。
  • 長期連続での取得は計画的に
     旅行や帰省で連休を取りたいときは、早めに相談するのがマナーです。
  • 有給休暇の買い取りは原則できない
     一部の例外を除き、有給休暇を現金で精算することは認められていません。

8. 新卒社員が有給休暇を上手に使うメリット

有給休暇を使うことは、決してわがままではありません。

  • 心身のリフレッシュにつながる
  • モチベーションが上がる
  • 仕事の効率が向上する
  • 私生活の充実につながる

社会人生活を長く続けるうえで、計画的な休暇取得はむしろ「長期的に会社に貢献すること」にもつながります。

まとめ

新卒社員が有給休暇を取得するポイントは次のとおりです。

  • 入社から6か月経過し、出勤率8割以上で10日付与
  • 付与された有給は2年間有効
  • 申請すれば基本的に取得できる(会社は日程調整は可能)
  • 2019年以降は年5日の取得が会社に義務付け
  • 計画的に使うことで心身の健康や仕事の効率向上につながる

有給休暇は、法律で守られた労働者の大切な権利です。新卒社員の皆さんも、不安に思わずに積極的に利用していきましょう。

当事務所では、新卒社員の方への労務知識の提供や、企業側の有給管理体制の整備についてもサポートを行っています。労務管理や働き方改革に関するご相談は、ぜひお気軽にご相談ください。

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