少子高齢化が進む日本において、医療費の確保と負担の公平性は重要な課題です。その中で、75歳以上の高齢者を対象とする後期高齢者医療制度は、多くの方が関わる大切な制度です。しかし実際には、「加入は強制なの?」「保険料はどう決まるの?」「現役世代や国との負担割合は?」といった疑問を持たれる方が少なくありません。
本記事では、制度の仕組み、加入条件、保険料の計算方法、さらにメリット・デメリットを整理し、わかりやすく解説していきます。老後の生活設計や社会保障制度の理解にぜひお役立てください。
1.後期高齢者医療制度とは?
後期高齢者医療制度とは、75歳以上の方(または65歳以上で一定の障害があると認定された方)が加入する医療保険制度です。2008年(平成20年)に創設され、それまで高齢者医療費を国民健康保険や社会保険で賄っていた仕組みを見直し、高齢者の医療費を独立した制度で支える形となりました。
この制度の目的は、
- 高齢者の医療費を社会全体で公平に負担する
- 高齢者本人も一定の保険料を負担しつつ、必要な医療を受けやすくする
という点にあります。
運営は「都道府県単位の後期高齢者医療広域連合」が行っており、各市区町村は窓口業務(保険証の交付や保険料の徴収など)を担当します。
2.加入は強制なのか?
結論から言うと、後期高齢者医療制度への加入は強制です。
強制加入の理由
- 健康保険(会社員や公務員などが加入)や国民健康保険(自営業者や無職者などが加入)に加入していても、75歳になると自動的に資格を喪失し、後期高齢者医療制度に移行します。
- 選択制ではなく、他の医療保険に入り続けることはできません。
これは、高齢者医療を全国一律の制度で支えるために設計されているためです。したがって、75歳を迎えた方は全員が必ずこの制度の被保険者となります。
3.対象者
後期高齢者医療制度の対象となるのは、次の方です。
- 75歳以上の方
誕生日当日から資格取得となり、自動的に加入します。 - 65歳以上75歳未満で、一定の障害があると認定された方
身体障害者手帳1・2級、療育手帳A判定などが該当します。申請により加入できます。
4.保険料はどのように決まる?
後期高齢者医療制度の保険料は、全国一律ではなく都道府県ごとに異なります。大きく分けて「均等割」と「所得割」の2つの要素で構成されます。
(1)均等割
加入者全員が負担する定額部分です。
例:年間約5万円前後(地域によって異なる)
(2)所得割
所得に応じて加算される部分です。前年の所得に応じて一定割合が加わります。
例:所得割率 約8〜10%程度
(3)保険料の上限
年間の保険料には上限があり、全国で統一されています。
- 所得割を含めた上限額:66万円(令和6年度時点)
(4)保険料の納付方法
- 年金からの天引き(特別徴収):年金が18万円以上支給されている方は、原則として年金から差し引かれます。
- 口座振替(普通徴収):年金額が少ない方や希望する方は、口座振替や納付書払いが可能です。
5.医療費の自己負担割合
高齢者医療費の自己負担は、所得水準に応じて異なります。
- 一般的な方:1割負担
- 一定以上の所得がある方:2割負担
- 現役並み所得者(課税所得145万円以上など):3割負担
なお、外来や入院の医療費が高額になった場合は、「高額療養費制度」により自己負担が軽減されます。
6.制度の財源と負担割合
後期高齢者医療制度の財源は次のように分担されています。
- 公費(国・都道府県・市町村):約50%
- 現役世代からの支援金(健康保険組合や国民健康保険から拠出):約40%
- 高齢者本人の保険料:約10%
つまり、後期高齢者の医療費は社会全体で支える仕組みになっています。
7.後期高齢者医療制度のメリット・デメリット
メリット
- 全国一律の制度であり、安心して医療を受けられる
- 所得に応じた負担で公平性がある
- 高額療養費制度や入院時の食費・居住費軽減措置など、経済的支援が充実している
デメリット
- 保険料は必ず発生し、低所得者でも均等割の負担がある
- 所得が一定以上あると、現役世代と同じ3割負担になる
- 制度改正により保険料や自己負担割合が変動する可能性がある
8.将来の見直しの動向
日本は今後も高齢化が進み、後期高齢者医療制度の財源確保は大きな課題となります。政府は「現役並み所得者の自己負担を増やす」「高額療養費制度の見直し」などを検討しており、将来的に高齢者の負担が増える可能性があります。
まとめ
- 後期高齢者医療制度は、75歳以上の方全員が強制的に加入する医療保険制度です。
- 保険料は「均等割+所得割」で決まり、納付方法は年金天引きが基本です。
- 医療費の自己負担は1〜3割で、所得水準に応じて異なります。
- 制度の財源は公費や現役世代からの支援金も含め、社会全体で支えています。
老後の生活設計を考える上で、医療費の見通しは重要です。ご自身やご家族が後期高齢者医療制度の対象となる時期を見据え、保険料や自己負担の仕組みを理解しておくことで、安心した生活を送ることができます。
👉 当事務所では、社会保障制度や老後の生活設計に関するご相談を承っています。後期高齢者医療制度や年金、介護保険制度など、ご不明点があればお気軽にご相談ください。

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