【2025年10月改正】後期高齢者医療制度の改正点とその影響

~高齢者本人・家族・事業者が知っておくべきポイントを社会保険労務士が解説~

はじめに なぜ今、後期高齢者医療制度が見直されるのか

日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進行しています。
2025年には「団塊の世代」がすべて75歳以上となり、医療費の急増が社会全体の大きな課題となっています。

こうした状況を背景に、後期高齢者医療制度についても制度の持続可能性を確保するための見直しが進められてきました。
その一つの節目が、2025年10月施行の制度改正です。

本記事では、社会保険労務士の立場から、

  • 2025年10月の後期高齢者医療制度改正の内容
  • どのような人に影響があるのか
  • 高齢者本人や家族、企業実務への影響
  • 今後注意すべきポイント

について、分かりやすく解説します。

後期高齢者医療制度とは?改正前の基本を整理

後期高齢者医療制度の概要

後期高齢者医療制度は、75歳以上の方(一定の障害がある場合は65歳以上)を対象とする医療保険制度です。

主な特徴は次のとおりです。

  • 市町村ではなく「後期高齢者医療広域連合」が運営
  • 医療費の自己負担割合は原則1割(一定所得以上は2割または3割)
  • 保険料は個人単位で賦課

制度が抱える課題

  • 医療費の増大
  • 現役世代の負担増
  • 高齢者間での負担の不公平感

これらの課題を是正するため、段階的な制度改正が行われています。

【2025年10月改正】後期高齢者医療制度の主な改正点

改正の全体像

2025年10月改正の最大のポイントは、一定以上の所得がある後期高齢者の医療費負担の見直しです。

これは、2022年から段階的に進められてきた負担見直しの流れを踏まえたものです。

改正点① 自己負担割合の見直し(2割負担の範囲)

これまでの自己負担割合

改正前は、後期高齢者の自己負担割合は以下の3区分でした。

  • 1割負担:一般的な所得の方
  • 2割負担:一定所得以上の方
  • 3割負担:現役並み所得者

2025年10月以降のポイント

2025年10月以降は、2割負担となる方の範囲が明確化・定着します。

具体的には、

  • 年金収入やその他の所得が一定額を超える場合
  • 単身世帯・複数世帯で基準が異なる

といった点が整理され、「負担能力に応じた医療費負担」がより強調されます。

※実際の基準額は毎年度見直されるため、最新情報の確認が重要です。

改正点② 配慮措置の段階的終了

配慮措置とは?

2割負担導入にあたり、
医療費の急激な増加を抑えるために設けられていたのが配慮措置です。

  • 1か月の自己負担増加額に上限を設ける
  • 急激な家計負担を防止

2025年10月以降の影響

この配慮措置は段階的に終了し、2025年10月以降は原則として通常の2割負担が適用されます。

👉 これにより、該当者は医療費の自己負担額が実質的に増える可能性があります。

改正点③ 保険料負担への影響

保険料そのものはどうなる?

今回の改正は主に「自己負担割合」が中心ですが、医療費全体の増加は将来的な保険料負担の上昇にもつながります。

特に、

  • 医療機関の受診頻度が高い方
  • 慢性疾患を抱える方

は、自己負担と保険料の両面で影響を受ける可能性があります。

高齢者本人への影響|どのような点に注意すべきか

医療費負担の増加リスク

  • 定期通院・投薬が多い方ほど影響が大きい
  • 配慮措置終了後は家計管理が重要

生活設計の見直しが必要に

  • 年金収入と医療費のバランス
  • 医療費控除の活用
  • 高額療養費制度の理解

制度を正しく理解することで、負担を抑える工夫が可能です。

家族への影響 支援の視点が重要に

後期高齢者本人だけでなく、家族の関与が不可欠になるケースも増えます。

  • 医療費や保険料の把握
  • 受診行動の見直し
  • 介護保険との併用

特に、独居高齢者の場合は、家族や専門職のサポートが重要です。

企業・事業者への間接的影響

高齢従業員を雇用している企業

  • 再雇用・継続雇用の高齢者が医療制度改正の影響を受ける
  • 健康管理・就労配慮がより重要に

社会保険労務士の役割

  • 高齢従業員への制度説明
  • 労務管理と医療制度の調整
  • 企業内相談窓口としての対応

高齢者雇用が進む中で、医療制度の理解は労務管理の一部となっています。

よくある質問(Q&A)

Q1:医療費が増えたら必ず2割負担になる?

➡ いいえ。
所得や世帯状況によって判断されます。

Q2:受診を控えた方がいい?

➡ 必ずしもそうではありません。
重症化を防ぐためにも、必要な受診は重要です。

Q3:制度が分かりにくい場合は誰に相談すべき?

➡ 市区町村窓口、年金事務所、社会保険労務士などの専門家への相談が有効です。

今後の動向 さらに見直しはある?

後期高齢者医療制度は、今後も医療費動向や財政状況を踏まえて見直しが続く可能性があります。

  • 自己負担割合
  • 保険料算定方法
  • 現役世代との負担調整

引き続き注視が必要です。

まとめ 2025年10月改正を「正しく理解し、備える」

2025年10月の後期高齢者医療制度改正は、

  • 高齢者本人の医療費負担
  • 家族の生活支援
  • 企業の高齢者雇用

に幅広く影響を及ぼします。

制度を正しく理解し、早めに生活設計・労務管理を見直すことが重要です。

社会保険労務士は、年金・医療・労務を横断的に支援できる専門家として、
皆様の不安解消をサポートします。

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