キャリアアップ助成金の申請要件と申請方法は?~非正規雇用から正社員へのキャリア形成を支援~

働き方改革が進む中で、非正規雇用から正社員へとキャリアを積み上げる支援は、企業にとっても労働者にとっても大きなテーマです。厚生労働省が実施している「キャリアアップ助成金」は、そのための代表的な制度の一つです。

しかし、実際に制度を利用しようとすると、「対象となる従業員は?」「どんな要件を満たせばいいのか?」「申請はどう進めればいいのか?」といった疑問が多く出てきます。

本記事では、キャリアアップ助成金の申請要件と申請方法を、社会保険労務士の視点からわかりやすく解説していきます。

キャリアアップ助成金とは?

キャリアアップ助成金は、有期契約労働者・パートタイム労働者・派遣労働者などの非正規雇用労働者の処遇改善やキャリア形成を促進するための助成制度です。

企業が対象となる取り組みを行い、一定の要件を満たした場合に、厚生労働省(労働局)から助成金が支給されます。

主な目的は次のとおりです。

  • 非正規から正社員への転換を促進
  • 賃金規定の整備や処遇改善を推進
  • 有期雇用労働者のキャリア形成を支援
  • 企業の安定した人材確保につなげる

キャリアアップ助成金の主なコース

キャリアアップ助成金にはいくつかのコースが用意されており、企業の取り組みに応じて申請できます。

1. 正社員化コース

最も利用が多いコースで、有期契約やパート、派遣労働者を正社員に転換した場合に助成されます。
支給額の目安は、1人当たり 57万円(中小企業の場合)。女性・若者・氷河期世代などを正社員化した場合は加算措置もあります。

2. 賃金規定等改定コース

有期労働者やパートタイマーの基本給を一定割合以上引き上げる場合に利用できます。

3. 賃金規定等共通化コース

正社員と非正規労働者の賃金規定を共通化した場合に助成されます。

4. 諸手当制度共通化コース

通勤手当や住宅手当などの制度を、非正規労働者にも適用した場合に対象となります。

5. 健康診断制度コース

非正規労働者にも法定外の健康診断を実施する場合に支給されます。

6. 短時間労働者労働時間延長コース

週20時間未満で働く短時間労働者の労働時間を延長し、社会保険加入に結びつけた場合に利用できます。

キャリアアップ助成金の申請要件

助成金を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

対象労働者に関する要件

  • 有期契約労働者、パートタイマー、派遣労働者など非正規雇用であること
  • 原則として、転換や制度適用の前に 6か月以上の雇用実績があること
  • 正社員化の場合は、雇用契約を無期・正社員へ転換すること

事業主に関する要件

  • 雇用保険の適用事業主であること
  • 就業規則や賃金規定を整備していること
  • 労働保険料や社会保険料の納付を適切に行っていること
  • 過去に不正受給などをしていないこと

制度導入に関する要件

  • 正社員化コースなら、就業規則に転換制度を規定していること
  • 賃金規定等改定コースなら、基本給を3%以上引き上げること

キャリアアップ助成金の申請方法

申請の流れは次のとおりです。

1. 事前準備(制度整備)

  • 就業規則や賃金規定を整備し、労働基準監督署へ届け出る
  • 転換制度や処遇改善内容を社内で明文化する

2. 取り組み実施

  • 実際に正社員へ転換する
  • 賃金を引き上げる
  • 共通化制度を導入する

3. 申請書類の提出

  • 労働局へ申請書を提出
  • 就業規則、賃金台帳、出勤簿、雇用契約書などの添付資料が必要

4. 審査・支給決定

  • 労働局による審査を経て、助成金が指定口座に振り込まれる

※申請期限は「取り組みを行った日の翌日から2か月以内」など、コースごとに異なります。

よくある申請時の注意点

  • 書類不備により申請が却下されるケースが多い
  • 助成金は「事前に制度を整備してから取り組む」ことが必須
  • 社会保険料・労働保険料の滞納があると受給できない
  • 正社員化後の労働条件が正社員と同等であることが求められる

社会保険労務士に相談するメリット

キャリアアップ助成金は魅力的な制度ですが、要件が複雑で申請書類も多いため、企業担当者が自力で対応するのは負担が大きいです。

社会保険労務士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

  • 最新の助成金情報に基づいた正確な制度活用ができる
  • 書類作成や労働局対応を任せられる
  • 不備やミスによる不支給リスクを減らせる
  • 他の助成金との組み合わせも提案してもらえる

まとめ:キャリアアップ助成金を有効に活用しよう

キャリアアップ助成金は、非正規労働者の正社員化や処遇改善を進める企業にとって大きな支援策です。ただし、要件や申請手続きが細かいため、正しい理解と準備が必要となります。

  • 正社員化や賃金引き上げなど、コースごとに要件を確認
  • 就業規則や賃金規定を整備することが前提
  • 取り組み実施後、期限内に申請を行うことが重要

人材確保が難しい時代だからこそ、助成金を有効に活用することは企業の成長にも直結します。

👉 当事務所では、キャリアアップ助成金の申請サポートをはじめ、助成金活用に関する総合的なご相談を承っております。制度の活用を検討されている企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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